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ヨルダン戦で得た、手ごたえと悔しさ。
代表最年少、酒井高徳の長い1日。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/03/29 10:32

ヨルダン戦で得た、手ごたえと悔しさ。代表最年少、酒井高徳の長い1日。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

試合前、現代表で最年少の酒井は最年長、最多出場の遠藤と肩を組んだ。2歳年上の香川はマンUというビッグクラブでプレーし、代表でも確固たる地位を築いている。酒井はこれからどこまで成長できるだろうか。

ドイツ代表入りに関する誤報で激怒していた酒井。

 酒井が、ドイツに渡ってからメディアの前でもっとも語気を荒げたのは、2012年9月2日のことではなかったか。

 少し前にドイツの新聞に「酒井がドイツ代表入りをオプションとして考えている」という、本意ではない記事が掲載された。日本人の父とドイツ人の母を持つ酒井にはドイツ代表入りの“権利”があったため、ドイツメディアから好奇の目を向けられていた。

「『(ドイツサッカー協会から)電話があったらどうする?』と聞かれたのは確かなんです。でも、『電話があったなら、(選手として)素直に嬉しいとは思うけど、それはドイツ代表に入りたいということではない』と伝えたんです。それなのに『ドイツ代表入りもオプションの一つ』みたいに書かれたみたいですけど、だいぶ、盛られてます。『オプションの一つ』だなんて、一切、言っていないです。それはちゃんと(日本メディアに)書いておいてください!」

15歳の時、アメリカとドイツのパスポートを捨てた。

 結局、後に日本代表として試合に出場したことで、ドイツ代表入りの可能性は消滅した。だが、まだ何も決まっていない時点でドイツ代表よりも日本代表入りへの熱い想いを語ることが出来たのは何故か。今年1月、トルコでのキャンプ中に、酒井は自らのパスポートについて話してくれた。

「俺は、15歳で(年代別の)日本代表に入るとき、日本のパスポートを取得して、アメリカ(酒井はアメリカのニューヨークで生まれた)とドイツ(母親の生まれた国)のパスポートを破棄したんです」

 理論上はアメリカ、ドイツの代表チームでプレーすることも可能だったが、酒井の頭の中には日本代表でプレーすることしかなかった。

「俺は日本で育って、日本で良くしてもらって、将来も日本代表でいくって、ずっと思ってました」

 そして、日本代表でプレーすることがいかに酒井にとって大きなことなのか、その口からはとめどなく言葉があふれてきた。

【次ページ】 「日本代表でずっとやっていたい……」

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酒井高徳
シュツットガルト

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