F1ピットストップBACK NUMBER
チームオーダーは是か非か――。
F1マレーシアGPで起きた2つの事件。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2013/03/25 11:30
ポディアムの上でファンの歓声に応えるベッテルと、2位を手放しで喜べない状況に複雑な思いを抱くことになったウェバー(左)。
オーダー無視が原因でF1のスターが消えた過去も!?
フェラーリのジル・ビルヌーブとディディエ・ピローニがワンツー体制でサンマリノGPをリードして終盤を迎え、チームは2人にそのままの順位でフィニッシュしろという意味のチームオーダーを出していた。
ところが、ピローニがビルヌーブをオーバーテイクし、逆転で優勝してしまう。
激怒したビルヌーブは続くベルギーGPでピローニにライバル心をむき出しにし、予選で必要以上のリスクを犯し、事故を起こして還らぬ人となってしまう。
チームオーダーを無視したピローニは非難の矢面に立たされた後、自らも重傷を負い、F1を去るという悲劇に見舞われた。
レース結果にまったく納得していないウェバーに遺恨が。
そして、2013年マレーシアGP。表彰台でスピーチを求められたウェバーはこう答えた。
「このような結果に終わってしまったことに関しては、全然納得していない。最後のピットストップ後、チームがレースは決まったと言ってきたので、エンジンの回転数を下げ、タイヤを温存しながらクルージングを始めた。するとバトルが始まったんだ。
理解するのに時間がかかった。
オーバーテイクされてからも、僕はずっといろんなことを考えながら走っていたよ」
すると、その後の記者会見ではベッテルを非難する質問が相次いだ。
メルセデスのロズベルグはチームオーダーを守ったが……。
そんな中、2013年のマレーシアGPでは「2つめの事件」も起きていた。
それはメルセデスAMGのチームオーダーである。
4番手を走行していたニコ・ロズベルグに対して、「3番手のルイス・ハミルトンに仕掛けるな」という指示が飛んだ。ロズベルグはチームオーダーを遵守し、メルセデスAMGの2台は3位と4位でフィニッシュした。
F1のレースでチームオーダーが採用されることは、珍しくない。