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チームオーダーは是か非か――。
F1マレーシアGPで起きた2つの事件。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2013/03/25 11:30
ポディアムの上でファンの歓声に応えるベッテルと、2位を手放しで喜べない状況に複雑な思いを抱くことになったウェバー(左)。
現在、チームオーダー禁止条項は無い。
最近ではフェリペ・マッサがフェルナンド・アロンソにトップを譲る形となった2010年のドイツGPのフェラーリがそうだったし、ルーベンス・バリチェロがミハエル・シューマッハー(ともに当時フェラーリ)にポジションを明け渡した2001年と2002年のオーストリアGPもチームオーダーだった。そして、そのいずれのチームオーダーにも疑問の声が挙がり、その後レギュレーションが改訂される事態に発展。
現在、レギュレーションでチームオーダーを禁止する条項は削除されている。
ところがパドックではチームオーダーを守ったメルセデスAMGに対しても、レース後、非難する声が少なからず聞こえてきた。
レッドブルのチーム代表、クリスチャン・ホーナーは言う。
「F1はチームスポーツであると同時に、個人競技でもある。だから、時にドライバーの感情とチームの思惑が相反することがある」
その矛盾こそが、このスポーツを複雑にしている原因である。
と同時に、このスポーツの魅力だということを忘れてはならない。