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伏兵が大阪桐蔭から主役の座を奪う!?
因縁深い関西対高知の一戦に注目。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2013/03/21 10:31
第85回選抜高校野球選手権大会の組み合わせ抽選会にて。健闘を誓う高知・和田恋主将(右)と関西・戸部大二主将。
'07年春以来の再戦を制して、高知は勢いに乗れるか。
高知は大会から姿を消すのが早い。ことごとく序盤で敗れているのである。夏こそ13度出場で優勝以外では3度のベスト8があるが、春は16度出場しながら、優勝、準優勝、ベスト8が1回ずつで、1、2回戦の敗退がほとんどなのだ。それも、その好成績が残っているのは30年以上前の話だ。
センバツで優勝したのが'75年のことで、それ以降のセンバツではベスト8に1回も進んでいない。県民に「1回戦敗退か優勝」と植え付けてしまったのは、この30年の戦績のせいだろう。
そこで今回、関西と対決するのである。
関西とは優勝候補として迎えた'07年春以来の再戦である。島田監督がセンバツに指揮官として初出場した大会だった。
今回、初戦を勝っても、春江工、常葉菊川、報徳学園の勝者という厳しい戦い続くが、高知の歴史を振り返る時、初戦を勝って勢いに乗る、さらにはその相手が関西……という興味深いシナリオに上位進出を期待してしまうのだ。
いつまでも大阪桐蔭に主役を任せるわけにはいかない!
ともに、悲運の甲子園を経験してきた両校が相まみえる。彼らにとっての初戦が大会にとっても大きな意味を持つような気がしてならない。
3季連続優勝を狙う大阪桐蔭は、今でこそ「横綱」と呼ばれているが、過去は苦しい戦いを経験してきた。中田翔(日ハム)がいた時には、'05年夏の駒大苫小牧、'06年夏の早実、'07年春の常葉菊川と、大阪桐蔭に勝ったチームが優勝するということがあったのだ。
大阪桐蔭の覇権が続く今の高校野球シーンに、ぜひ、風穴を開けてもらいたい。