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伏兵が大阪桐蔭から主役の座を奪う!?
因縁深い関西対高知の一戦に注目。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2013/03/21 10:31
第85回選抜高校野球選手権大会の組み合わせ抽選会にて。健闘を誓う高知・和田恋主将(右)と関西・戸部大二主将。
3月22日に開幕する第85回記念選抜高校野球大会の組み合わせが決まった。
今大会の注目は、史上初の3季連続優勝にチャレンジする大阪桐蔭(大阪)である。昨年、2年生捕手としてエースの藤浪晋太郎(阪神)を巧みにリードした森友哉が主将としてチームを引っ張り、「本気で優勝を狙う」と決意を語っている。
とはいえ、今年の大阪桐蔭に大きな期待を寄せるのは少し酷かもしれない。
今大会の選考の参考資料である昨秋近畿大会では準決勝に進出したものの、報徳学園(兵庫)にコールド負け。大阪桐蔭の西谷浩一監督が「完全に力負け」と白旗を上げるほどのチームはそこまでの力はない。
過去のデータをひも解いてみたが、地区大会でコールド負けを喫したチームが翌春のセンバツで優勝したというケースはここ30年で第65回大会を制した上宮(大阪)しかない。学年をまたがない昨秋からの積み上げという点で、果たして大阪桐蔭がどれほど成長しているか……楽観視はできないだろう。
偉業に挑む大阪桐蔭を「死のブロック」の好敵手が阻む。
そんな彼らの行く手を阻もうとするかのように、大阪桐蔭のブロックには注目校が集まっている。
2年生にして152キロを投げ込む剛腕・安楽智大のいる済美(愛媛)、影の優勝候補とさえいわれる中国大会準Vの広陵(広島)のほか、昨夏の甲子園で大阪桐蔭を苦しめた済々黌(熊本)、関東の雄・常総学院(茨城)、東海大会覇者の県岐阜商(岐阜)、春に強い花咲徳栄(埼玉)などずらり。
大阪桐蔭の隣のブロックも激戦必至だ。
昨秋の神宮大会覇者・仙台育英(宮城)を筆頭に、伝統校・龍谷大平安(京都)と早実(東京)。中・四国の王者・関西(岡山)と高知、'07年センバツ覇者の常葉菊川(静岡)と北信越王者・春江工(福井)、昨秋に大阪桐蔭を破った報徳学園と、こちらもなかなかのツワモノ揃いだ。
他の2つのブロックに注目校がいないというわけではないが、サッカージャーナリズム的な表現を使わせてもらうと「死のブロック」と呼んでいいほど、この2つのブロックには前評判の高いチームが集結しているのである。