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伏兵が大阪桐蔭から主役の座を奪う!?
因縁深い関西対高知の一戦に注目。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2013/03/21 10:31
第85回選抜高校野球選手権大会の組み合わせ抽選会にて。健闘を誓う高知・和田恋主将(右)と関西・戸部大二主将。
「甲子園で勝てない」ジンクスを払拭した関西。
当然、大阪桐蔭と仙台育英が話題の中心にはなるが、この「死のブロック」の中で、ダークホース的な存在としてもっとも注目したいカードがある。
それは関西―高知の対決である。
関西はここ10年で春・夏8度の甲子園出場があり、中国地区では広陵に次ぐ強豪校として知られる。昨秋は神宮大会で準優勝したが、それも3度目という驚きの実績を誇る。
だが関西は、こと甲子園の実績というと不運続きの印象がぬぐえない。
'05年から5季連続出場ではうち4季の敗戦が終盤での競り負け。序盤はリードしていても試合をものにできないのだ。'05年春が慶応(神奈川)にサヨナラ負け、'05年夏は京都外大西に6点差をひっくり返され、'06年春は斎藤佑樹率いる早実と再試合まで及ぶ熱戦を展開しながら逆転で敗れている。同年夏も、文星芸大付(栃木)にサヨナラ負けした。
以前、明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督が「(関西には)将来、野球で飯を食っていけそうな選手がようさんおる」と話したことがあったが、タレントをそろえながら不運、あるいは、力を発揮できずに敗れているのだ。'10、'11年のセンバツでは2年連続で関西に初戦で勝ったチームが優勝するという珍しい事まで起きている。
ところが、一昨年夏、関西はその悪霊を振り払った。
初戦でその年のセンバツ準優勝校・九州国際大付を破ると、あれよあれよとベスト4まで進出した。準決勝で優勝した日大三に敗れ、「関西に勝つと優勝できる」ジンクスは継続されてしまったが、「甲子園で勝てない関西」から脱却したのだった。
もしも1回戦で高知が勝てば、優勝候補の筆頭に!?
一方の高知も、この10年で春・夏7度の甲子園出場を誇る。一時は明徳義塾の前に後塵を拝してきたが、'05年夏、明徳義塾の不祥事による代替出場から息を吹き返し、'06年秋の神宮大会では優勝している。高知県で唯一、春・夏の甲子園優勝経験校として地元の人気も期待も高い。
'04年に就任し、'05年夏の代替出場のころから甲子園で指揮を執っているのは島田達二監督である。しかし、実は7回挑戦の甲子園でたった1勝しかしていない。春に限ってはまだ未勝利で四国の強豪校として数え挙げられながら、勝利に導けていない。
もっとも、島田監督の采配に疑問を呈しているのではない。実は、高知というのはそういう学校なのだ。地元では中高一貫校の「高知学園」グループの高校として“学園”と呼ばれるこの学校、昔からこう言われてきたのだった。
「学園は1回戦敗退か優勝、そのどっちか」