欧州サムライ戦記BACK NUMBER
欧州CLベスト16は大健闘か、恥か!?
シャルケ内田篤人、不完全燃焼の心。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2013/03/21 10:32
2試合連続でアシストを決め、見事に怪我から復帰した内田だが……。「楽しい大会が終わってしまった」と落胆は大きかった。
現有戦力でのベスト16という結果はむしろ大健闘!?
ホームで実力を出し切れなかったのは、どうしてなのか。
その答えは明らかだ。チームの柱がなかった。2シーズン前ならば、前線にはラウールがいて、苦しい局面ではゴールやアシストを記録した。最後尾にはノイアーがいて、1~2点分を防いでくれた。彼らは持っている力をしっかりと出す術に長けていた。
あれから2年で核となる選手が去る一方、シャルケは満足のいく補強は出来ていない。CLの出場権を手にしたことで大型補強に出るチームはいるが、財政難の彼らにはそんなことは出来ない。
今シーズン開幕前に補強したのは、ノイシュタッターとバルネッタの2人だけ。いずれも、それまで所属したクラブとの契約切れを狙ったため、移籍金なしで獲得したのに過ぎない。冬にはどうにかバストスとラファエウ(前所属のディナモ・キエフでCLに出場しているため、シャルケでCLに出場することは出来ない)を呼び寄せたが、いずれもレンタルでの獲得だ。
世界最高峰の戦いを前に、最高の準備が出来たとは言い難い。大会が始まる前からこの結末は予想されていたのかもしれない。むしろ、グループステージを首位で通過して、ベスト16入りしたことが健闘と言えるのかもしれない。
「さすがに負けるのが1個早い」と内田は悔いる。
しかし、これが限界だったのではないですか、と問われた内田はこう答えた。
「うーん……限界のところがあったとしても、さすがに負けるのが1個早い。ベスト8で負けたっていうならわかるけど。ガラタサライは良いチームだけど、2シーズン前のマンチェスターみたいにかなわない、ってわけじゃなかったからね」
持てる力を出しきれない。シャルケは恥ずかしい戦いをさらしてしまったのだ。
しかし……。
明るい材料に目をやることは出来る。例えば、いまでは不動のレギュラーとなったドラクスラーを引き合いに内田は語る。
「あいつなんて、(前回CLに出た)2年前は高校生だったけど、今はすっごい大きく見える。あとは、下からどんどん出ているよね。35番(コラシニク)もそうだし、途中から出た29番(マイヤー)もそうだし……」
また、今シーズン、ノイシュタッター、ヘーガー、フクスといった選手たちが初めてCLのピッチに立つことが出来た。こうして、シャルケの選手たちには確かな経験値が蓄積されていく。