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新ローマ法王をマラドーナも祝福!
“神の手”再来に熱狂のアルゼンチン。 

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藤坂ガルシア千鶴

藤坂ガルシア千鶴Chizuru de Garcia

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photograph byChizuru de Garcia

posted2013/03/15 13:50

新ローマ法王をマラドーナも祝福!“神の手”再来に熱狂のアルゼンチン。<Number Web> photograph by Chizuru de Garcia

「Olé」紙を飾った新法王フランシスコ1世。一面の見出しは「LA OTRA MANO DE DIOS」(もうひとつの神の手)。中面では「PAPA ES CUERVO」(法王はカラス=サン・ロレンソの愛称」と見出しを打っている。

優勝したシーズンは、サン・ロレンソの試合を全て観戦。

 イタリア移民だった父が、鉄道職員として働く傍ら、サン・ロレンソのバスケットボール部でプレーしていたこともあり、幼い頃からアスルグラーナ(サン・ロレンソのチームカラーである青と臙脂)に傾倒。1946年にサン・ロレンソがアルゼンチンサッカーリーグを制覇したシーズンは、ベルゴグリオ本人によると「1試合たりとも見逃さなかった」という。

 また2008年には、サン・ロレンソの創立100周年記念のミサを主催。その際、クラブの名誉会員として会員証をもらっている。

 このときに与えられた会員番号が88235なのだが、偶然にも、ベルゴグリオが新法王に選ばれた13日の朝、アルゼンチン国営ロトで当たり番号として「8235」が出ていた。このことに気づいたサン・ロレンソのファンは「神がかり的なものを感じる」と喜び、現在2部降格の危機にさらされている同クラブの現状に好影響を与えてくれると信じて疑わない。

「もうひとつの神の手」がアルゼンチンをW杯優勝に導く!?

 かつて横浜マリノスでプレーしたことのあるアルベルト・“ベト”・アコスタは、'80年代後半から'04年までの間に通算6シーズンをサン・ロレンソで過ごしているが、最後の試合で使ったユニフォームを、家族でも友達でもなく、ベルゴグリオにプレゼントしている。サン・ロレンソの関係者たちが、いかにベルゴグリオを慕っていたのかがよくわかるエピソードだ。

 ところで、「Olé」紙の見出しとなった「もうひとつの神の手」の意味がおわかりだろうか。'86年にマラドーナの神の手ゴールによって世界チャンピオンに輝いたアルゼンチンが、今度は法王の「もうひとつの神の手」によって世界の最高峰に導かれるであろうということだ。

 過去、ローマ法王がワールドカップで母国の優勝を祝ったのは、1930年代のピウス11世のケースのみに留まっている('34年と'38年のイタリア優勝)。そこですでにアルゼンチン国内では、ベルゴグリオが来年のブラジルワールドカップで、「法王の母国が優勝」という'76年ぶりの快挙を体験するかどうかが注目されている。

 果たして来年のワールドカップで、「Habemus Messi」が再現されるのだろうか。それだけは、マラドーナにもメッシにも、そして新法王にもわからない、真の神のみぞ知る未来なのである。

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