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モーグル伊藤みき、“納得”の銀!
世界選手権で見せた日本勢の活躍。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2013/03/09 08:02
ワールドカップで過去4度の表彰台のうち、3度が五輪で実施されないデュアルモーグルだった伊藤みき(左)。
ソチを1年後に控え、陣容が整いつつある女子モーグル。
伊藤に加え、女子では上村愛子が5位、村田愛里咲が6位に入った。
上村は、決勝、スーパーファイナルの滑りの出来に悔いを残しているが、復帰して2シーズン目、まだ模索を続けながらのシーズンだ。その中にあって、ワールドカップで表彰台に2度上がるなど上位にしばしば食い込んだことは、十分な成果とも言える。
村田は、バンクーバーで初めて五輪に出場した選手。九州出身のスキー選手としては初めての冬季五輪出場となり、8位入賞を果たした。子どもの頃、トランポリンもやっていたことから、エアを得意とする。
33歳の上村、25歳の伊藤、22歳の村田と世代の異なる3人は持ち味もそれぞれに異なるが、ソチを1年後に控え、陣容が整いつつあるのが女子の現在である。
五輪新種目のスキー・ハーフパイプで注目される小野塚彩那。
世界選手権では、ソチから採用される五輪新種目のスキー・ハーフパイプで小野塚彩那が銅メダルを獲得した。
スキー・ハーフパイプは、スノーボードのハーフパイプ同様、底がへこんだ半円形のコースを滑り、空中に飛んで技を披露する採点競技だ。
小野塚は、もともとはアルペンの選手で、学生日本一になるなど実績を残し、スキーの総合技術を競う全日本技術選手権でも上位に入る活躍を見せてきた。ハーフパイプの五輪採用が決まるとともに転向したが、アルペンで築いたベースの技術とともに、今シーズンのワールドカップでは総合3位につけている。
ハーフパイプは、まだ競技の認知度が低いため、関係者らがサポーターズクラブを組織し、活動資金面のバックアップなどを受けて競技生活を続けている。また、全日本スキー連盟もどのように強化体制を取っていくのか、定まっていないのが現状だ。4位には三星マナミが入っているように、ソチ五輪でも上位を狙える種目だけに、体制作りが今後の鍵を握るかもしれない。
モーグル、ハーフパイプと、ソチ五輪が楽しみとなる大会となったのが、今回の世界選手権であった。