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エピファ、コディーノ、キズナ……。
弥生賞、“最強3歳馬”たちの競演。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKiichi Yamamoto
posted2013/03/02 08:01
12月のラジオNIKKEI杯、直線で3頭が一線に並ぶ激しい叩き合いの末、エピファネイア(右)が半馬身ほど抜け出し重賞初制覇。敗れたバッドボーイ(左)、キズナ(中)ともに、弥生賞で再び相まみえる。
横山典弘とコディーノは、“関東の復権”を目指す!
対抗と目されているのは、東の大将格のコディーノ(美浦・藤沢和雄厩舎)である。
父はダービーとNHKマイルカップなどを勝ったキングカメハメハ、母ハッピーパスはマイルチャンピオンシップなどを勝った名牝シンコウラブリイの妹と、こちらも良血だ。
新馬戦を勝ったあと、札幌2歳ステークス、東京スポーツ杯2歳ステークスと重賞を連勝し、圧倒的1番人気で2歳王者決定戦の朝日杯フューチュリティステークスに臨むも首差の2着に惜敗した。3コーナーで外に出したときに行きたがり、そのぶんラストの伸びを欠いてしまい、差し切れなかった。
朝日杯の前は「'13年のクラシックはこの馬が総ナメにするだろう」とまで言われていただけに、追い込み及ばず敗れた瞬間、中山競馬場に失意のため息があふれた。「伯楽・藤沢和雄を念願のダービートレーナーにするのはこの馬だ」「シンボリルドルフ以来、ほぼ30年ぶりに関東から無敗の三冠馬が誕生するかもしれない」といった期待が一気に萎んでしまった。
レース後、福島県のノーザンファーム天栄にリフレッシュ放牧に出て、2月上旬に帰厩し、ここに備えてきた。
鞍上はベテラン、横山典弘。関東のエースの復権なるか、注目だ。
武豊はディープの仔キズナに跨り、強敵にどう立ち向かう?
エピファネイアとコディーノの「二強」に次ぐ存在と見られているのがキズナ(栗東・佐々木昌三厩舎)である。
父はご存知、史上最強馬ディープインパクト。母キャットクイルは桜花賞などGIを3勝したファレノプシスを送り出している、二強に優るとも劣らぬ超良血だ。
新馬、黄菊賞を佐藤哲三の手綱で連勝し、その余裕タップリの勝ち方から、「この馬こそ'13年のダービー馬候補だ」という声も多く聞かれた。しかし、落馬負傷した佐藤に替わって主戦となった武豊を鞍上に迎えたラジオNIKKEI杯2歳ステークスでは、道中2番手につける正攻法の競馬をするも、直線で伸び切れず3着に終わった。
勝ったエピファネイアは確かに強い競馬をしたが、このキズナも、ノーリーズン、アーネストリーなど多くのGI馬を生産した「ノースヒルズ始まって以来の大物」と言われた逸材である。敗因を挙げるとしたら、一線級と手合わせするのが初めてで、やや太め残りだったことか。
コディーノ同様、このキズナも復権をかけてここに臨む。
名手・武豊が、ともに頂点に登り詰めたディープインパクトの仔に跨り、強敵相手に立ち回るというだけで見どころになる。