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PSGは真のビッグクラブになったか?
王様イブラと共に遂げた劇的な変化。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2013/02/14 13:40
1stレグでいきなりレッドカードのイブラヒモビッチ。アンチェロッティ監督は「終了間際に起こったことは残念」と言及したが、「非常に試合内容がよかった点は喜ぶべき」とした。
イブラのプロフェッショナリズムが若手に与える影響。
しかし一方で、彼のチームメイトへの要求は、厳しいが理にかなったものでもある。そしてそれが、とりわけ若手の成長を促している。たとえばマテュイディは、イブラについてこう述べている。
「たしかにピッチ上で文句は多いけど、アドバイスも凄いんだ。僕はもっと速く前に向かってプレーしろといつも言われている。彼のおかげで随分進歩したし、世間で言われているイメージとは違って、決してとっつきにくいわけじゃない」
同じような言葉は、ベッラッティをはじめとする若い選手たちの間からも聞こえてくる。イブラの意識の高さ、彼が体現するプロフェッショナリズムが、徐々にチームの中に浸透しつつあるのだ。
ところが、である。そのイブラ自身がこれまでのキャリアを通じ、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントでほとんど活躍していない。
31試合に出場してわずかに4得点(得点率13%)。ルーニー(28試合14得点、52%)やメッシ(56試合26得点、46%)、C・ロナウド(45試合20得点、45%)は言うに及ばず、ファンペルシの24%(21試合5得点)に比べてもずっと低い。本人にとっても、これから先は新たな挑戦なのである。
その矢先の出場停止。3月6日のバレンシアとの第2戦、穴はベッカムが埋めるのか。それともようやく確立したコレクティブなチームプレーで、大黒柱の不在を感じさせずに戦えるのか……。
ここからPSGの本当のチャレンジがはじまる。