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<復帰への決意> 上村愛子 「スキーで周りを喜ばせたい」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShino Seki
posted2013/02/20 06:01
「気持ちは16歳のときのようです」
今は「ソチでメダルを」と迷いのない上村に、十数年を経てなお続く競技生活について尋ねる。
「どうでしょう」
少し考えたあと、こう返した。
「5回目のチャレンジで、自分の等身大のままというか、まっすぐ気持ちの向くまま一生懸命やりたい、そんな気持ちになっています。そういう面では、自分の中でいちばん素直にスキーのことを考えているように思います」
苗場で、あるいは今シーズンの開幕前に上村が口にした言葉を思い出す。
「自分にわくわくする部分がみつけられました」
「気持ちは16歳のときのようです」
当たり前のようであった選手生活から離れ、引退を考え続け、たどり着いた続行の道。
まっさらな状態で気持ちを確認できたとき、競技への新鮮さを取り戻し、初めてオリンピックに挑んだときのような心境になれた。
だからこそ、現役であり続け、2014年のオリンピックを目指している。