WBCでもその絶対的な信頼感が期待されている。

　今でも、マウンドに上がれば誰よりも緊張する。だからこそ山口は、自分の負の感情を凌駕するパフォーマンスを続けるべく研鑽を積む。

　その姿勢から成される数々の実績は、原辰徳監督をして「山口は百戦錬磨。彼がいてくれるのは非常に大きい」と言わしめる。チームから揺るぎない信頼感を得るほどに、山口は成熟を遂げたのだ。

　緊張感と隣り合わせの日々が続くシーズンが開幕するまで約2カ月。しかし、今年に限っていえば、その前に大舞台が控えている。

　第3回WBC。

　現時点では候補だが、代表に選ばれるのは確実だ。山口は左のワンポイントとして重宝されるだろうし、戦況によっては守護神を任される可能性だって十分にあり得る。

　前回大会を経験しているだけに、国際大会の雰囲気は知っている。だが彼は、当たり前のように自らの想いを正直に述べていた。

「前回選ばれたから今回は大丈夫、というのはないですね。国を背負うという意味ではプレッシャーがかかると思います」

　緊張を受け入れながらも結果を出している山口のことだ。投げる場所が、負けが許されない国際大会であろうと、そのパフォーマンスが変わることはない。