野球クロスロードBACK NUMBER
澤村の速球で引退を決意したが……。
燃え尽きない男、中日・山崎武司。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/12/14 10:30
常に周囲を明るくするそのキャラクターで、チーム内だけでなくファンからも広く愛されている山崎。来季こそ怪我無くシーズンを通して笑顔でプレーできることを祈りたい。
厳しい競争は覚悟の上……燃え尽きるにはまだ早い!
事実、来季の山崎にはかすかながら風が吹き始めている。主砲のブランコが自由契約となりDeNAへ移籍。新外国人のルナが加入するとはいえ実力は未知数。山崎のチャンスは少なくない、と捉えられる。しかし彼は、そのような甘い未来予想図は描いていないようだ。
「嫌らしい言い方をすれば、ブランコ以上の外国人はそうそう現れないよ。そう思ったら楽なんだけど、今のドラゴンズにおける俺の立場は去年とは明らかに違う。俺の成績が不本意だったから球団は外国人を獲ったわけだし、高木監督にしても『来年は若手を使っていきたい』と思っているだろうし。相当な結果を出さないと試合には出られないと思うよ」
山崎は「もう1年」と言った。だからといってそれは、必ずしも来季が現役のラストイヤーを意味するわけではない。
「競争相手に隙があればそこに割って入って、ガツンとやってやりたいって思いはあるよ。そのためには、やるべきことをもっとやっていかないといけない。一生懸命に野球をやって、結果がついてきたご褒美として再来年もできたら嬉しい。現役を続けるわけだから、名古屋のファンをはじめ、みんなから『ありがとう』って言ってもらいたいじゃない」
結果を出す。それは大前提としてある。だがそれ以上に、自分を後押ししてくれる人たちへの恩返しをしっかりと果たす。
それを成し遂げるまで、山崎武司が燃え尽きることはない。