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澤村の速球で引退を決意したが……。
燃え尽きない男、中日・山崎武司。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2012/12/14 10:30

澤村の速球で引退を決意したが……。燃え尽きない男、中日・山崎武司。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

常に周囲を明るくするそのキャラクターで、チーム内だけでなくファンからも広く愛されている山崎。来季こそ怪我無くシーズンを通して笑顔でプレーできることを祈りたい。

「一番は、やっぱり自分の辞め方に納得ができなかった。夏前に骨折したけど、前半戦から自分がチームを引っ張ってきたっていう自負はあったんだよ。それが、結果的に9月の半月だけの不調で『いりません』と球団から言われてしまってね。だから、『俺はまだやれるよ』と現役続行を決めたわけ」

 2011年10月、当時、楽天に在籍していた山崎武司は、「自分の中の火を消せなかった」と、現役続行を表明した理由をこのように話していたことがある。

 それから1年後の12年10月、打率2割9厘、1本塁打、13打点というシーズン成績も物語るように、山崎の「自分の中の火」は力強さを失いつつあった。

「今年1年を通じて、『自分のパフォーマンスがどうだったか?』と考えると、すごく不本意だったと感じたから。俺も一応そうだけど、プロの第一線でプレーした選手って力が衰えてきたら代打とかに回るんだけど、実際、そうなったときに『別に俺がいなくてもチームは何とかなるな』と、そういう気持ちになったのね。だから『辞めようかな?』と。はははは!」

 山崎はそう言って豪快に笑う。だがこの1年、心から笑える成績を残せなかったことは、彼自身が一番理解している。

10年ぶりに復帰の中日で開幕4番を任されたが……。

 楽天を自由契約となり、10年ぶりに古巣の中日に入団した今季、開幕までの山崎は絶好調だった。

 オープン戦では12球団トップの4本塁打。指揮官の高木守道に「現時点ではブランコよりも山崎のほうがいい。バッティングの質もはるかに上ですよ」と言わしめ、セ・リーグ史上最年長となる開幕4番を実力で勝ち取った。その開幕戦でも4打数2安打。打撃以外でも本塁への激走を見せるなど、43歳とは思えないキレのある動きも披露した。

「疲れたよ。足は大丈夫だけど腕がバリバリ! 肩にも力が入ったしさ。でも、4番という大役を任されて嬉しかったね。3連覇を目指しているチームだからしょうもないことはできないと、ますます思ったよ」

 そう言って、安堵の表情を浮かべた山崎だったが、4月下旬にインフルエンザで登録抹消して以降、その表情は徐々に曇り始める。

 山崎が不在の間、それまでベンチを温めていたブランコが大爆発したため、山崎はスタメンでの居場所を失ってしまったのだ。

【次ページ】 二軍落ちを命じられて頭を過ぎった、野球人生の引き際。

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