ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
開幕ダッシュはまぐれだったのか?
真価を問われる乾とフランクフルト。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byD.Nakashima/AFLO
posted2012/11/08 10:31
乾は10試合連続の先発出場を果たしたものの、プレーは精彩を欠いて、早い時間での途中交代となった。これで5試合ノーゴールが続く。
開幕から好調を維持してきたフランクフルトだが、ここにきて少しペースが落ちてきている。それにともない、一時は3試合連続ゴールを決めた左MFの乾貴士もまたゴールから遠ざかっている。
最下位であるグロイター・フュルトとの試合が1対1の引き分けに終わったあと、乾はこう話した。
「(自分の調子については)イマイチわからないですけど、迷いがあるのかなと思います。でも、これが自分の今の実力だと思っているので、しっかり受け止めて来週また試合あるのでしっかりと頑張りたいです」
フュルトとの試合でも前半12分にペナルティエリア内でフリーでシュートを放つチャンスがあったが、シュートはGKにキャッチされてしまう。57分には交代を命じられ、ベンチに下がった。
「チャンスは1回ありましたし、それをしっかり決めていれば2-0で勝ちきれたのかなとは思いますけど。まぁ、ああいうところを決めていかないといけないなと思います」
そう反省の弁を口にした。
注目度が低かった開幕直後の時期だから、活躍できたのか!?
ブンデスリーガの'12-'13シーズン開幕時点では、ほとんどの人は乾に注目していなかった。「キヨタケの注目度が高いのはわかる。それに比べてイヌイへの注目度が低すぎるのは理解できない。イヌイは良い選手なのに……」と、多くの日本人の移籍にたずさわるドイツの代理人クロートは開幕前に疑問を呈していたものの、それは例外だった。
乾が1部でプレーするのは初めてであること、そして所属するフランクフルトが今季から1部にあがったチームというのもあって、メディアやファンだけではなく、フランクフルトはブンデスリーガの他のクラブからの注目度も低かった。それゆえに、開幕当初はチームとしても自分としても、良いプレーを楽々とみせられていたと乾は考えている。