欧州サムライ戦記BACK NUMBER
ザックの辛辣なコメントに何を思う?
宇佐美貴史20歳が抱く野心と課題。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/11/10 08:02
17歳でガンバ大阪の公式戦デビューを果たすなど、早くからその才能が注目されてきた宇佐美だが、バイエルン・ミュンヘンでは不遇の日々を過ごした。今季、ホッフェンハイムでは中心選手として活躍、日本代表でも“ブレーク”の瞬間が待たれる。
宇佐美貴史が、昨年6月以来となる代表復帰を果たした。11月14日に行なわれるW杯アジア最終予選、オマーンとのアウェイゲームに臨むメンバーに選出されたのだ。
今季はホッフェンハイムで中心選手として活躍しており、日本代表入りも噂されていた。宇佐美自身も10月の時点でこう話していた。
「『(宇佐美は)なんで代表に入らないんだ?』って(みんなに)思わせるぐらいの活躍をして、選ばれるしかない。ただ、活躍を続けていれば間違いなく、選ばれると思う」
だが、メンバー発表会見の際にザッケローニ監督が以下のようなコメントを残し、波紋を呼んでいる。
「宇佐美を含め2列目には若いタレントが多い。みな優秀だが、若さという武器を生かしていない。成長できる時間があるのに、誰も飛躍的に成長していない。もっと努力する必要がある。(中略)2年前、日本に来た時に宇佐美を見て、当時の年齢と実力とのバランスを見て非常に驚いたが、それから2年たって大きく成長はしていないと思う。たとえばシステムの違うチームでやる場合でも、もっと成長してほしい。今、彼がやっていることは、2年前に自分ができたことを今もやっているだけのように思う」
「(ザッケローニは)“大きくは”成長してないと言っただけ(笑)」
辛辣なコメントだ。しばらく代表から離れていた選手が加わるのであれば、大きな期待とともに迎え入れられるのが普通であるように思えるのだが。宇佐美は監督のコメントをどう受け止めているのだろうか。
9月には自らの試合を視察したザッケローニ監督から「(ホッフェンハイムで見せている活躍を)継続することが大事だ」と声をかけられた宇佐美は、監督が奮起をうながそうとしているのもお見通しだ。午前中の練習を終えた後に話を聞くと、こんな答えが返ってきた。「監督がそう思うなら、そうなんじゃないですか。俺はそうは思わないというだけで。彼が求めている成長とちょっと違っているのかもしれないですけど」
表情を変えずにそう話すと、さらにこう続けた。
「(2年前に比べて)成長していなかったらブンデスで出れていないと思いますし」
今、具体的に取り組むべきなのは、自らがドリブルなどで効果的にしかけていくプレーを増やすことだと宇佐美は考えている。
「やっぱり、(しかける)回数ですよね。良いプレーをする回数……突破をしかけるとか、その回数が少ないとは言われているので。だから、もっと多く出すこと。それに、まぁ………成長していないとメディアは取り上げていましたけど、“大きくは”成長してないと言っていただけで、それもなんか、メディアの言い回しじゃないですか(笑)」