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<空白の1年、再びのドラフトへ> 菅野智之 「待ち焦がれた始まりの地へ」 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2012/10/22 06:00

<空白の1年、再びのドラフトへ> 菅野智之 「待ち焦がれた始まりの地へ」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

体作り以上に変化があった、ピッチングとの向き合い方。

 東海大学の卒業延期制度を使って、大学に籍を置きながら野球部で練習を続けさせてもらった。だが、たとえ練習試合でも、対外試合で投げることは禁じられた。投げるスタミナを失わないために週に1回、200球を投げ込み、シート打撃や紅白戦のマウンドにも立たせてもらった。週に2度のジム通いで体を作り、昨年はOサイズだったユニフォームが、今は一回り大きいXOサイズとなり、太ももは5センチ太くなった。

 ただ、この浪人生活で一番の変化はピッチングに対する向き合い方だ、と菅野は語る。

「ピッチングや打者との駆け引きに関する考え方が変わりました」

 これまではいい回転のボールをいいフォームで投げることばかりを考えてきた。もちろん大事なことだが、それだけではないと思うようになったのだ。

 きっかけはメジャーリーグだった。

 昨年の日米大学野球選手権で渡米し、アメリカの球場や野球環境に憧れはあった。ただ、メジャーの試合となると、これまでほとんど観る機会もなく、興味もなかった。

アメリカでの自主トレで目にした、大リーガーの練習が刺激に。

 実は今年の1月末、菅野は浪人生活の本格的なスタートをアメリカで切った。野球部のキャンプが始まる前の約半月を、メジャーのキャンプ地・アリゾナで過ごしたのだ。

「本格的なキャンプが始まる前でしたけど、メジャーの選手が自主トレをする施設でトレーニングもさせてもらい、早めに始まったバッテリーのキャンプも見学しました」

 中日からボルチモア・オリオールズに移籍した左腕のチェン・ウェインや同じ台湾出身でヤンキースでも活躍したワシントン・ナショナルズの王建民らバリバリのメジャーリーガーのトレーニング風景を見ることができた。

「自分は野球には頑固で、これまでもこうじゃなきゃと考えてきたところがありました。でも、そうやって色々な野球を見て、色んな考え方を聞くことで、今まで自分が考えてきた野球観とかピッチングへのアプローチだけではなく、もっと様々な方法や考え方があるなって考えるようになったんです」

【次ページ】 メジャー中継に没頭して気づいた、好投手の条件とは?

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