欧州サムライ戦記BACK NUMBER
CLで2失点に絡んだ内田篤人は、
“負のイメージ”を払拭できるのか?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byREUTERS/AFLO
posted2012/10/04 12:35
自身、今季CL開幕戦となった、ホームのモンペリエ戦。コンディションの良さが目立ち、攻守に優れたプレーを見せた内田だったが、チームの2失点に絡む展開となり、DFとしては後味の悪い試合となった。
後半45分、モンペリエがカウンターをしかける……。
実際、後半43分には内田が、右サイドに速いボールを送る。途中から出場したファルファンがこれに追いつき、中央へクロス。ペナルティエリア内中央、フリーでフンテラールがシュートを放つが、右に外してしまう。
このシーンなどは、この状況で考えられる最高の攻撃だった。決定機は外してしまったが、あとはしっかり守りきればいい。スタジアムはそんな雰囲気に包まれていた。
後半に入ってから44分間は相手に1本たりともシュートを打たせていなかったのだから。
しかし、後半45分のことだった。
モンペリエが右サイドからカウンターをしかける。
フランス王者は3人、対してシャルケは6人の選手がいた。にもかかわらず、相手のボールに対してチェックに行ったノイシュタッターがかわされ、フクスは寄せきれない。パスがペナルティエリア内のティナンのところへ。マークするヘベデスが倒れてしまう。内田は一瞬、ティナンへ対応した。ティナンがペナルティエリアにさしかかるところにいたカマラに落とす。内田は急いで、スライディングをしかける……。
このとき内田は、相手のシュートが自分の「足に当たると思った」という。しかし、シュートは内田の股を抜けて、ゴール右隅に吸い込まれてしまった。
「自分が出ているときに失点したらまずいでしょう?」
モンペリエの後半に入ってから最初で最後のシュートがゴールになり、スコアは2-2に。そして、そのあとにタイムアップの笛がスタジアムに響くことになった。2失点目を喫したあと、ヘベデスとともに内田はピッチに倒れ込み、しばらく起き上がれなかった。
「(チームとしての狙いは)ハマっていたけどね。あれで、2-1で逃げ切れたら、『プラン通り。良かった、素晴らしい!』ってなる。でも、引き分けだから、良くない。(大事なのは)結果だから」
試合後に、守備の選手たちは、決定機を逸しつづけた攻撃陣に物足りなさを覚え、攻撃の選手たちは、カウンターを止められない選手をなじった。
そんな中、内田は、自分のプレーに目を向けていた。
「自分が出ているときに失点したらまずいでしょう? こういう積み重ねだから、印象って。あの1本だけ、だけど、あの1本でやられたんだから……。そういうもんだからね、厳しいからね」