欧州サムライ戦記BACK NUMBER
CLで2失点に絡んだ内田篤人は、
“負のイメージ”を払拭できるのか?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byREUTERS/AFLO
posted2012/10/04 12:35
自身、今季CL開幕戦となった、ホームのモンペリエ戦。コンディションの良さが目立ち、攻守に優れたプレーを見せた内田だったが、チームの2失点に絡む展開となり、DFとしては後味の悪い試合となった。
後半、主導権は完全にシャルケが握ったが……。
それでも、そこからはホームのシャルケがペースを握る。チームとしての狙いは、前線から激しくプレッシャーをかけに行くのではなく、一度引いて守備のブロックを作ってから、相手にアタックに行くこと。そして、ボールを奪ったら素早くカウンターでゴールを狙う。その策は、実際ハマっていた。
序盤こそ相手の個人技を生かした攻撃に手をやいたが、シャルケ守備陣は次第に対応する術を身につけていった。
「前半のあいつらのパス回しは普通に上手かった。でも、やっていくうちに慣れてくるというか、後半は別に怖くなかったしね」
内田はそう振り返るが、この言葉はシャルケ守備陣に共通する思いだろう。
前半26分にはDFラインに抜け出してフンテラールのパスを受けたドラクスラーが相手GKをかわして、早くも同点ゴールを叩き込む。
後半に入ると、完全にシャルケが主導権を握る。
後半7分、ドラクスラーがドリブル突破を試みて、ペナルティエリア内で倒されてPKを得る。しかも、倒したボカリは一発退場だ。フンテラールがしっかりとPKを決めて、2-1と逆転する。1人少ない相手に、ホームゲームでリードを奪ったのだ、シャルケは盤石の戦いを進めていく。
内田はコンディションも良く、総じて高いパフォーマンスを見せた。
内田自身のパフォーマンスも、この日はむしろ良かったと言える。コンディションの良さが目立った。セカンドボールに対しては、素早く足が出る。一対一で抜かれることもなかったし、インターセプトも狙えていた。
例えば、後半31分のプレー。モンペリエのカマラが左サイドでボールを受けようとすると、内田が対応。体をぶつけてコースに入り、ボールをカットした。
「ああいうのはタイミングと間合いだから。相手がデカいか、デカくないか、ではないから。間合いとタイミングでサクッと入れちゃうから。普通に、そこら辺は大丈夫」
そう内田も振り返る。
リードを奪っていたこの状況で内田が考えていたのは、無理な攻撃参加は控えて守備のリスクを排除することであり、自分たちの攻撃の際にはシュートで終わって相手にカウンターのチャンスをなるべく与えないことだった。