フットサル日本代表PRESSBACK NUMBER
カズはフットサルの代表で輝けるか?
合宿の現場で目撃した課題と希望。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKyodo News
posted2012/09/27 11:25
代表合宿から一時離れ、横浜FCへと戻る直前のカズ。監督や選手たちとのコミュニケーションは非常に良好のようだった。
フットサルには非常に複雑で多くのサインプレーがある。
サインプレーの多さもカズを悩ませる。フットサルはアメリカンフットボールのような戦略性を含んでおり、CKやキックインのようなリスタートはもちろん、攻守両面において綿密にパターンが練り上げられている。そのすべてを身体に染み込ませるのが、代表入りの最低条件なのだ。
ロドリゴ監督からは、CKとキックインのパターンを編集したビデオを渡された。次回のキャンプまでに覚えてほしい、というメッセージとともに。
「24日のミーティングのあとに、ディフェンスのやり方を20個以上は見たんじゃないかな。ほとんど忘れてますけど(笑)。CKやキックインのサインプレーも、かなりの量がある。それを覚えなきゃいけないので、ちょっと大変ですけどね。戸惑いも、多少はね、やっぱりね。でも、考えすぎてもうまくいかないことが多いので。とにかく慣れるしかないし、あまり勉強は好きじゃないから、ここでやります。コートで覚えますよ」
力みのない軽快な口調は、頼もしさを感じさせる。だが、周囲の不安を解きほぐすような言葉を額面どおりに受け取ったら、この男の真意に辿り着くことはできない。
カズ自身にとってはリスクの塊でしかない挑戦なのに、なぜ?
今回のフットサル日本代表入りは、リスクばかりが目につくチャレンジである。
J1昇格の可能性を残す横浜FCを離れるのは、懐疑的な視線を誘いかねない。日本代表に正式に選出されても、どこまで活躍できるのかとの疑問もずっとつきまとう。ワールドカップで決定機を逃し、それが敗戦の原因となったりすれば、猛烈な批判にもさらされるだろう。
そうしたものをすべて理解したうえで、カズはフットサル日本代表入りを目指している。
映像で見たディフェンスのやり方を忘れた?
そんなはずがない!
勉強は好きじゃないから、コートで覚える?
そんなはずもない!