フェアウェイの舞台裏BACK NUMBER
全英女子ゴルフに赤鬼が出現!?
宮里藍と原が語るアジア人の強さ。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAction Images/AFLO
posted2012/09/28 10:30
2日目の12番ホールで、グリーン上の原江里菜のマーカーから、ボールが風で動いたのが確認され、試合は中断、後に中止となった。この日すでに始まっていたラウンドのスコアは無効になるという異例の事態になった。
ビートルズとフットボールで有名な英国の港町リバプールから西へ約16km、海沿いにホイレークという小さな街がある。若き日のジョン・レノンは恋人のシンシアに会うために何度もここを訪れていた。
この街のゴルフ場に「鬼」が出たという。
ロズウェルのUFO目撃談や東スポのカッパ発見報道のようなオカルトとは違う。れっきとした目撃者がいる。女子プロゴルファー、原江里菜である。
「びっくり! 衝撃的でした」とは原の証言。
そして、原は鬼の顔と同時に女子ゴルフ界で日本人選手や韓国人選手が活躍できる理由も見たと言った。
プレーを急かす競技委員に猛抗議したカーとペテルセン。
事の顛末はこうだった。
今年の全英リコー女子オープンはホイレークにあるロイヤル・リバプールGCで行われた。メジャー初出場の原は、予選ラウンドをクリスティ・カー(米国)、スサン・ペテルセン(ノルウェー)と回ることになった。2人合わせて米ツアー通算22勝を誇る世界のトッププロである。
まずは初日に兆しがあった。
コースが難しいために全体の進行はどうしてもタイムテーブル通りには進まず、どの組も競技委員に急かされていた。原たちの組も同じで、後続組がまだ1ホール以上離れているのに「急いでくれ」と注意を受けた。
こうした進行の遅れに対する注意は日本ツアーでは日常茶飯事。原は気にもしていなかったが、一緒に回っていた2人のリアクションは予想だにしないものだった。
「後ろの組と1ホール半も空いてるのに、どうして私たちが急がなきゃいけないのよっ!」
口角泡を飛ばし、そろって競技委員に食ってかかったのだ。日本ではまずお目にかかれない光景である。
「プレー中なのにあり得ないと思いましたよ。文化の違いを感じました」
そう言って驚いていた原だが、これはまだ序の口。
2日目、ついに鬼を見る。