リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
レアルのリーガ連覇に早くも暗雲……。
深刻化するモウリーニョと選手の対立。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2012/09/21 10:31
マンCとのCL初戦を劇的な逆転勝利で飾ったモウリーニョ率いるレアル。しかし、国内での戦いは一向に波に乗れず。その最大の要因は選手との関係悪化にあると言われ……。
「悲しいから」と得点を喜ばなかったC・ロナウド。
「俺のせいで同点ゴールを決められたのは認めるけれど、(スーパーカップの)バルサ戦でペドロにゴールを許したときは、ミスを犯した“お仲間”を叱らず、副審のせいにしましたよね。公の場で叩く選手もいれば、責任を問わない選手もいるってどういうことですか?」
お仲間とはポルトガル出身のコエントランのことである。
第3節のグラナダ戦は3-0で勝ったが、2ゴールを決めたクリスティアーノ・ロナウドが得点を喜ばず、その理由を「悲しいから」と語ったことがニュースとなった。
なぜ悲しいのか本人はいまだ明らかにしていないが、チームメイトの前でヘタフェ戦のプレーをモウリーニョになじられ、自尊心が傷ついたからだと、ある新聞は伝えている。
そして第4節、レアルが1-0でセビージャに敗れると、モウリーニョは再び選手を責めた。
「セビージャの選手は必死にボールを追っていたが、我々には集中力も堪え忍ぼうという気もなかった。いまのわたしに試合ができるチームはない」
敗因分析でも意見がわかれるモウリーニョと選手たち。
敗北を免れようと最後までゴールを目指した選手たちにとっては屈辱的なコメントだ。おかげでマドリッドへの帰路、チーム内には険悪なムードが漂ったが、モウリーニョとの対立を深めても良いことはないからと、選手側はメディアの前では口を閉ざした。プロとして、いまは全員が一丸となって勝利を目指すことが重要だとわかっているからだ。
しかし、厄介なことに、ここでも監督と選手の意見が対立している。
4戦して4ポイントしか獲れなかった原因をモウリーニョは集中力と戦う姿勢の欠如にあるとしてきたが、選手側はそうは思っていない。改善すべきは敵に読まれるようになった直線的で速いサッカーへの監督の拘りであり、足りないのは相手が自陣を固めてきたときの対処法――複数の選手が連動してスペースを作り出す練習だと信じているのだ。