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五輪で金、新リーグも発足したが……。
米国女子サッカーの明るくない見通し。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2012/08/22 10:31
なでしこリーグの大阪高槻FCがGKソロらアメリカ代表の選手数人にオファーを出しているという報道もあった。金メダリストたちの去就に注目が集まっている。
ソロやワンバックが日本に興味を抱く可能性は?
なでしこジャパンの選手たちは、日本だけでなく、ドイツ、フランスなどでプレーしているが、再び選択肢のひとつとしてアメリカが入ってくるのかどうかは様子を見てみないとわからない。
むしろ、アメリカの選手を日本に呼び寄せるケースが出てくるかもしれない。
日本では9月15日からなでしこリーグが再開するが、スペランツァ大阪高槻FCが、金メダルを獲得したアメリカの主力選手たち、GKのホープ・ソロ、MFのメガン・ラピノー、FWのアビー・ワンバック、アレックス・モーガンの4人に代理人を通じてオファーを出したという報道があった。
果たしてアメリカの選手たちが、日本でプレーすることに興味を示すかどうかは分からないが、経済的には悪い話ではない。アメリカの選手たちにとっても、来季の新リーグスタートまで、「パートタイム」の仕事としては日本に来るのも悪くないだろう。
ビッグイベントは、2015年の女子W杯カナダ大会までお預けに。
問題は、日本、アメリカともに人気がナショナルチームに偏っていることだ。クラブの人気にまで落としこめなかったからこそ、リーグとして成功するまでに至らなかった。
しかも女子サッカーの次のビッグイベントは、2015年の女子ワールドカップカナダ大会までお預けになる。これは、痛い。
W杯、オリンピックと2年連続で開催が続くのは強力なコンテンツになりえるが、反対に2年間ビッグイベントがないのは、日米両国の女子サッカーにとって頭の痛いところだ。今後、ナショナルチーム同士の対抗戦を企画するなど、何らかの仕掛けがないと、両国のリーグの盛り上がりにも影響してくるだろう。