なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
スウェーデン戦で感じた運動量不足。
なでしこはいつ“本調子”になる!?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2012/07/29 12:35
1トップに入った大儀見は、前半は13分にチーム最初のシュートを放ったり、ポストプレーから展開するなど積極的なプレーを見せたが、次第に孤立するシーンも増えノーゴールに終わった。
澤穂希の平凡なパスミスから招いた失点の危機。
なでしこジャパンとスウェーデンの試合は7月28日正午(日本時間同日午後8時)に、第1戦と同じコベントリー・スタジアムで始まった。真夏の正午のキックオフとはいえ、この日の気温は20度以下。晴れていたため日差しはそれなりに強かったが、決して暑かったわけではなかった。
なでしこジャパンの先発は第1戦のカナダ戦と同じ。スウェーデンとは互いに初戦で勝ち点3を挙げているチーム同士であり、互いにグループリーグ突破へ向けて駆け引き含みの試合となった。
日本は、立ち上がりはしっかりとボールを保持しながらショートパスで組み立てる試合運びを見せていたが、徐々に1トップの大儀見優季になかなかいいボールが入らなくなり、大儀見が孤立することが増えていった。
すると、中盤でのミスが増えていき、前半37分には澤穂希が平凡なパスミスをしてボールを奪われ、MFセーゲルにシュートを打たれる。これはシュートコースに入った熊谷紗希の体に当たって難を逃れたが、ボールの失い方が悪く、危ない場面だった。
ドリブルでスウェーデン陣内を切り裂いた、途中出場の岩渕真奈。
ハーフタイムにギアを入れ直した日本は、後半になるとスウェーデン陣内を有効に崩し始め、徐々にチャンスを作っていく。
後半4分には大野忍のスルーパスを受けた川澄奈穂美がワンツーで大野に戻し、大野の折り返しから澤が左足シュート。ようやく生まれた日本らしい攻めに、スタンドのボルテージが徐々に上がっていった。
なでしこジャパンの敏捷性と足元の細かい技術には、イギリスの観客からも自然と歓声が出るようになり、スタンドから日本人応援団の「日本チャチャチャ」(この応援スタイルが通常のサッカーの試合ではなく五輪らしいところだ)の手拍子が出ると、イギリス人たちも一緒に手を叩いていた。
だが、日本は決定機をなかなか生かすことが出来ない。シュートは多いが、ゴールを割ることができず、0-0のまま時間が過ぎていく。後半13分には前半から動きの重かった澤に代わって田中明日菜がピッチに立ち、後半35分には大野に代わって岩渕真奈が入った。
2人はともに五輪初出場。岩渕は細かいタッチのドリブルでスウェーデン陣内を切り裂いていったが、ゴールを割るまでには至らなかった。
後半はスウェーデンにも多くのチャンスがあった。だが、両者は互いに最後まで譲らず0-0の引き分け。勝ち点1を上積みし、決勝トーナメント進出を決めた。日本としては、スウェーデンのエース、シェリンを守備陣がしっかりと押さえ、無失点に抑えたことは評価できる。