なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
スウェーデン戦で感じた運動量不足。
なでしこはいつ“本調子”になる!?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2012/07/29 12:35
1トップに入った大儀見は、前半は13分にチーム最初のシュートを放ったり、ポストプレーから展開するなど積極的なプレーを見せたが、次第に孤立するシーンも増えノーゴールに終わった。
ロンドン五輪グループリーグ第2戦のスウェーデンとの試合を迎える前、なでしこたちの間には、微妙な空気が流れていた。カナダとの初戦に2-1で勝ったことで、佐々木則夫監督が「グループ2位でもいい」という考えを持っているという報道がなされたからだ。
グループ1位で決勝トーナメントに進んだ場合、準々決勝の相手はフランスになる可能性が高いとされている。だが、なでしこジャパンは五輪本番前に行った親善マッチでフランスと対戦し、0-2で完敗を喫している。五輪と親善試合ではまったく別の試合になるものだが、直前に負けた相手とやるよりは違う国とやる方がいいに決まっている。だから、佐々木監督が「2位狙い」を視野に入れていたとしても不思議ではなかった。
“負けない戦いをしたい”という意識が見えた試合展開。
報道に対し、佐々木監督はそういった考えがないことを強調し、選手が戦い方に迷いを持つのを防ぐために「スウェーデン戦は勝ち点3を取りに行く」と選手に告げた。けれども実際のところ、スウェーデン戦でのなでしこたちの出足に本来の鋭さはなく、がむしゃらに勝ち点3を取りたいというよりは、負けない戦いをしたいという意識のように見えた。
結果は0-0の引き分け。日本は、その後に行われた他会場の結果を受け、グループリーグ最終戦の南アフリカ戦を残して決勝トーナメント進出が決まった。
スコアも勝ち点1という結果も何ら問題はない。昨年の女子W杯優勝により置かれた立場が急激に変化しながらも、チャレンジャーの気持ちを失うことなく鍛錬を積み重ね、これまでの2試合でもプレッシャーによって自滅することもない、なでしこジャパンの安定感は素晴らしい。ただ、ひとつの不安要素を除けば……。