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「まだ大丈夫」か「もうダメ」か?
今季わずか3勝、ガンバの絶体絶命。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2012/07/13 10:31
7月7日(土)のFC東京戦前には、松波監督体制になって初めて選手だけのミーティングを行ったというガンバ大阪。遠藤は「選手同士がコミュニケーションをしっかりとり、ピッチ上で改善できれば」と前向きな発言をしていたが……。
練習不足によるスタミナ不足が拍車をかける……。
もうひとつは、フィジカル不足だ。
セホーン体制下でのキャンプは西野前監督時と異なり、ほとんどフィジカルトレーニングをしていなかった。
明神が「過去、一番ラクだった」というほどで、1年戦う体力と90分走り切るスタミナを養うことができなかった。シーズン序盤、後半30分以降に失点が多かったのは、足が止まり、動けなくなったからだ。
ストライカーの補強失敗も影響した。
例年、ガンバは決定力のある外国人ストライカーに頼っていた。アラウージョ、マグノ・アウベスは得点王になったし、バレーやイ・グノら他の外国人ストライカーもチームの勝利に大きく貢献していた。
今シーズンはラフィーニャを残留させ、パウリーニョを獲得したが、すでにラフィーニャはガンバを去り、パウリーニョは怪我がちで満足な働きができていない。レアンドロを呼び戻したが、コンディション不良の状態で、どのくらいやれるか不明だ。
J2降格の記憶が残る今野は「本当に大変なことになる」。
ただ、ガンバも黙って低迷に甘んじているわけではない。
フィジカル不足を認識したチームは6月に石垣島でフィジカルキャンプを実施した。FC東京戦を見ている限り、90分間、動けていたので、その成果は表れつつある。
攻撃も左サイドバックの藤春廣輝が積極的に攻撃参加するなど、高い位置でポゼッションが出来ており、チャンスも多く作れている。
選手も必死だ。
遠藤が積極的に前線に飛び出し、セカンドボールを必死に追い掛けている姿は、近年ほとんど見られなかった。
良くなる兆候は見え始めている。だが、結果に繋がらない。危機感も選手によって、まだ温度差がある。
「もう今から危機感を持ってやらないと本当に大変なことになる」
そう言うのは、過去にJ2降格を経験している今野だ。
「正直、今はすごくつらいし、苦しい。失点も減らないし、勝てない。でも、他の選手は、まだなんとかなるだろうと思っているのもいる。そんな甘い考えでいたら一瞬でシーズンが終わってしまう」
FC東京戦も前半1-3でリードされ、ロッカーに戻ってきた時、あまりの腑甲斐なさに明神が「戦えない選手はピッチから出ていってくれ」と、語気を荒らげたという。