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元巨人球団代表が描いた、
プロ野球の大動乱時代。
~著者が語る『プロ野球復興史』~
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph bySports Graphic Number
posted2012/07/03 06:00
『プロ野球復興史 マッカーサーから長嶋4三振まで』 山室寛之著 中公新書 800円+税
清武前代表と巨人・読売の争いをどう見ているのか。
その後、プロ野球は長嶋・王ら大スターが活躍する黄金期を迎えていく――。だが近年、野球人気は低落。昨年勃発した「清武騒動」も、多くのファンの眉をひそめさせた。現在も泥仕合を続ける清武英利前代表と巨人・読売の争いを、同じ球団代表経験者としてどう見ているのだろうか。そう訊ねたところ、山室氏は、騒動の発端となった清武氏による昨年11月の記者会見についてこう批判した。
「長いプロ野球の歴史の中で、球団幹部が進行中のコーチ人事などの内幕について、公の席で語るのは、私の知る限りなかったのではないでしょうか。彼のあの発言によって、彼が愛した巨人軍の選手、コーチの誰が救われたというのでしょう。巨人軍の長い伝統と歴史の中で、大変残念な騒動。このひと言に尽きます」
この話題になると表情も曇る山室氏だが、現在は次回作の準備を着々と進めているという。
「今度は長嶋さんの天覧本塁打からON時代を経て、赤ヘルカープ誕生までの歴史を描きたいと思っています」
過去があるから、今がある。今を知るためにも、こうした書に触れるのは有益ではないだろうか。