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なぜ昨季王者がここまで苦戦する!?
レイソルから消えた“やってやれ感”。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byAFLO
posted2012/05/12 08:01
連覇どころか、まさかの降格争い圏内にいるレイソル。王者として守りに入るのでなく、リスクを負って自ら仕掛けるスタイルを取り戻すことができるか。
何かがおかしい。
そう、何かがおかしいのは確かだが、「何がおかしいのか」は明確ではない。そんなジレンマが、今季の柏レイソルの足を引っ張り続けている。
Jリーグでは第10節を消化して2勝2分け5敗(第9節は6/27開催)。暫定15位という成績は、未消化分の1試合を差し引いても開幕前の予想に大きく反するものと言えるだろう。とはいえ大型連休を迎える前は、周囲を取り巻く空気がそれほど切迫していたわけではない。しかし、迎えた第10節サンフレッチェ広島戦、この試合であまりにも“らしくない”大敗を喫すると、ついにゴール裏からブーイングが鳴り響いた。
昨季王者の苦戦もキャプテンの大谷は“想定内”。
昨季「昇格1年目でのJ1制覇」という快挙を達成した王者は、なぜ、ここまでの苦戦を強いられているのか。
広島戦の後、ミックスゾーンで記者のぶら下がり取材を終えたキャプテンの大谷秀和を呼び止めた。
「(この成績を)想定外とは思っていません。去年も勝つべくして勝った試合というのは、実はそれほど多くない。紙一重の試合をものにしたり、チームとして我慢できていたところがあったので」
――今年はそれが、できていない。
「そうですね。何が原因なのかを探ると、やっぱり、試合が続く流れの中で、修正し切れていない。去年みたいにじっくり、前の試合のビデオを観て反省する回数が減っているし、それは監督がやっていないということじゃなくて……」
――単純に、時間がない。
「そう。次のゲームを考えなきゃいけないし、試合に出た選手のリカバリーもやらなきゃいけない。当然、ACLを消化試合にするわけにはいかないので、そこに向けての準備を優先するのは当たり前のこと。ただ、抱えている問題を全員で共有できないと、どうしても個々で消化しなければならなくなる。それが少し、同じ形での失点や同じような展開での負けに影響している気がします」
――その状況を改善するのは、確かに簡単ではない。
「もちろん選手同士で話はしているし、監督も『何かあればいつでも言いに来い』と言ってくれています。でも、すぐに試合があって、移動があってという流れがあるので、そこはやっぱり難しいですね」