欧州CL通信BACK NUMBER
第1レグを落としたバルサとレアル。
CL準決勝第2レグに待ち受ける罠。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byChelsea FC via Getty Images
posted2012/04/24 10:31
チェルシーの暫定監督ディマッテオ(写真右)は、興奮を抑えきれない面持ちで試合後に「バルセロナと戦うには少しだけ運も必要になる。もちろん、第2レグでも引き分けだけを考えて臨むつもりはない」と語った。一方のグアルディオラは「今日のチェルシーの守備は素晴らしかった。ただ、私たちにはゴール前での運が足りなかった」と淡々としたコメントを残した。
カンプノウでの失点を許さぬバルサが逆転勝ち抜け?
それでも第1レグと同じ展開にもっていければ、単純に得点機会の数からいって、今度はバルサ寄りの結果が出るだろう。攻撃に夢中になるあまり、セットプレーとカウンターへの注意が散漫になってしまう恐れはあるが、先日のクラシコではまさにそのセットプレーとカウンターから2失点した。あれが良い薬になるはずだ。
おまけに今季のバルサはホームゲームに強く、リーガでは17戦15勝1敗1分けの65得点10失点。CLでは5戦4勝1分けの18得点4失点。国王杯では4戦4勝17得点2失点である。
90分間、失点することなく2ゴール決める力は十分ある。逆転勝ち抜けはあり得る。
1-0で勝ち抜けのマドリーのほうが条件は厳しい!?
同じく第1レグを落としているマドリーは、ホームゲームを1-0で終えればよいわけだから、一見ハードルはバルサより低い。
だが今季のサンティアゴ・ベルナベウでのマドリーは守備が緩く、リーガとCLと国王杯を合わせた25試合で28失点もしている。ホームゲームの勝率そのものは84%と高いが、無傷で試合を終えることは滅多にないのだ。
1ゴールでも許したら、90分で決勝行きを決めるには、2得点しても足りなくなる。リーガのシーズン通算得点記録を現時点で塗り替えるほどの攻撃力を持つチームであっても、CLの準決勝で3点以上とるのは至難の業だろう。
第1レグのマドリーはというと、アウェイゴールに満足したのか、1-1というスコアを守りにいき、最終的に失点して敗れてしまった。疲れもあったとはいえ、ボールの支配権を譲り、前から積極的にプレッシャーをかけることを止め、バイエルンの選手交代に翻弄された末のことだ。
ならば最後までゴールを狙う姿勢を保てば良いのかというと、特にサイドの守備に不安を残すマドリーがロッベン、リベリー、マリオ・ゴメスにミュラーやクロースが加わるバイエルンの攻撃を完封するのは非常に難しい。モウリーニョの判断を含め、ミスの全くない試合をすることが必要になる。