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モウリーニョの魔術とミリートの献身。
インテル、45年ぶりのCL制覇なるか!? 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2010/04/25 08:00

モウリーニョの魔術とミリートの献身。インテル、45年ぶりのCL制覇なるか!?<Number Web> photograph by Getty Images

'04年FCポルト監督時代以来のチャンピオンズリーグ制覇を狙う

 アイスランドの火山が爆発したことも、理由のひとつだったにちがいない。3日前のカタロニア・ダービーでエスパニョールが予想外の善戦をしたことも、理由のひとつになるだろうか。

 バルサは疲れていた。土曜日の試合で精気を吸い取られたばかりか、航空機が飛ばなかったために14時間のバス移動を余儀なくされたからだ。陸路を用いると、バルセロナからミラノまでは意外に遠い。夜行列車に乗ると、明け方を迎えるのはニースかカンヌあたりだ。実際、バルサの選手たちはカンヌでの一泊を間に挟まざるを得なかったようだ。

 が、それだけでは敗因の説明にならない。4月20日、チャンピオンズリーグ準決勝のファーストレグで、バルサはインテルに敗れた。それも1対3の完敗。

サンシーロのピッチに、水は撒かれなかった。

 戦前の予想では、6対4もしくはそれ以上の比率でバルサが優勢と見なされていた。だが、インテルを率いるのが知将モウリーニョであることを軽く見てはいけない。

 モウリーニョは、例によって魔術に近い想像力を全開させた。まず彼は本拠地サンシーロのピッチに水を一切撒かせなかった。理由はもちろん、バルサの流れるようなパスワークを封じるためだ。

 ついで彼は、選手に暗示をかけた。「バルサは怖くない。彼らはグループリーグで当たったときと同じチームだ。だがわれわれは、あのときよりもいいチームになっている」

 そう告げたあとで、彼は前線に位置する3人の選手に献身的な動きを要求した。ミリート、エトー、パンデフの3人は、期待に応えてひたすら走った。高い位置でプレスをかけ、攻撃の局面では、何度はね返されてもゴールに迫った。ミリートなどは、75分しか足がもたなかったくらいだ。

ふたりのアルゼンチン人がメッシを完全に抑え込む。

 この献身的な動きが他の選手を触発した。守備的MFの位置にいたカンビアッソとモッタは、メッシのドリブルをほぼ完璧に封じ込んだ。よしんば彼らの間をすり抜けても、うしろには老練サネッティの壁が立ちはだかる。いうまでもないが、カンビアッソとサネッティは(そしてミリートも)メッシの同国人だ。同じアルゼンチンの選手にメンタル面でこうまで先手を取られるとは、メッシも予想していなかったのではないか。

【次ページ】 モウリーニョは守備的なのではなく“虎視眈々”。

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