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モウリーニョの魔術とミリートの献身。
インテル、45年ぶりのCL制覇なるか!?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2010/04/25 08:00
'04年FCポルト監督時代以来のチャンピオンズリーグ制覇を狙う
モウリーニョは守備的なのではなく“虎視眈々”。
モウリーニョのサッカーは「守備的」と評されることがある。統率の取れた堅守がなによりも眼を惹くからだろうが、私は「守備的」という言葉に違和感を覚える。むしろモウリーニョには、攻撃の機会を虎視眈々と待ちかまえている印象が強い。たとえば後半3分、マイコンの逆転ゴールが生まれたきっかけは、攻め込んできたメッシのボールをモッタが奪い取ったことだった。球はパンデフを経て右サイドに開いたミリートに渡り、バックアップする感じで真ん中寄りに上がってきたマイコンの右足でゴールにねじ込まれた。
疲れの出てきたバルサの選手たちは、このカウンター攻撃についていけなかった。私は、チェルシーで黄金時代を築いていたころのモウリーニョを思い出した。エシアン→ランパード→ドログバと渡ったボールを、最後にリッキー・カルバーリョが押し込む、といった水際立った展開。
モウリーニョは、チャンピオンズリーグ準決勝という大舞台で、彼のファンならば何度か見てきた光景を再現してみせた。短い芝がたっぷり水をふくんだ敵地カンプノウで行われるセカンドレグで惨敗しないかぎり、インテルは決勝の舞台に駒を進めることができる。1965年、エレニオ・エレラが指揮をとっていた時代から数えて45年ぶりの欧州制覇は、かなり現実味を帯びてきた。