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優勝候補対決、進学校vs強豪校……。
センバツの注目ポイントを徹底解説。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2012/03/19 10:30
選抜高校野球抽選会での花巻東・大沢永貴主将(右)と大阪桐蔭の水本弦主将。一回戦での優勝候補対決となった。
センバツの組合せ抽選会が一段落し、指定された取材場所へと向かう途中、横浜(神奈川)・渡辺元智監督が大阪桐蔭(大阪)・西谷浩一監督に声をかけている風景を見かけた。
「慣れてらっしゃる……西谷先生、全然ビビってないですね」
渡辺監督は、大阪桐蔭の初戦の対戦相手が花巻東(岩手)と決まったので、気になって西谷監督に一声かけてみたという。
確かに、初日の第3試合で大阪桐蔭と花巻東が対決するという組み合せは、渡辺監督でなくとも関心を寄せざるを得ないサプライズだった。
2012年ドラフトで注目の2投手が、いきなり初戦で激突!
大阪桐蔭のエース・藤浪晋太郎が197センチなら、花巻東のエース・大谷翔平は193センチ。ともに、「○○のダルビッシュ」とそれぞれの地域の呼び名で騒がれてきた逸材である。本家・ダルビッシュ有(レンジャーズ)が日本球界を去った直近の大会で、“2人のダルビッシュ”が対決する。どうしてもそこにロマンを感じてしまうのは筆者だけではあるまい。
優勝候補同士の一回戦での対決はセンバツ大会ではしばしばあることだが、ドラフト上位候補2名の投手が初戦から対峙することになるとは――高校野球好きにはたまらないカードと言えるだろう。
しかし、当事者たちにとってはたまったものではない。
西谷監督は苦笑しながら語る。
「この組み合わせはやりすぎですよね(笑)。うちは'06年夏に一回戦で横浜、二回戦で早実と当たったり、序盤から強いチームと当たることが多い。横浜の渡辺監督から『慣れてる』っていわれましたけど、そんなわけないでしょ。ビビりまくってますよ(笑)」
一方、花巻東の佐々木洋監督も「スタンドで見ている側だとしたら、楽しいと思いますけど、当事者としては避けたい相手でした。いきなり、全国大会で優勝しているチームと一回戦で対戦するとは……昨夏も、一回戦で帝京さんでしたけど……ついていないなというのが正直なところ」と頭を抱えた。