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優勝候補対決、進学校vs強豪校……。
センバツの注目ポイントを徹底解説。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2012/03/19 10:30
選抜高校野球抽選会での花巻東・大沢永貴主将(右)と大阪桐蔭の水本弦主将。一回戦での優勝候補対決となった。
菊池を擁した3年前とは全く異なる大会前準備の花巻東。
しかし、そんな言葉とは裏腹に、両監督の目の奥には好敵手を迎えての昂揚さえ感じられたのも事実である。
西谷監督は、前向きな言葉を継ぐ。
「試合が初日だということにまず驚いて、相手が今大会No.1投手の大谷君がいる花巻東でまた驚きましたけど、いいチームと試合ができるのは良い経験だし、勝てば自信になる。いいチャンスだと思って頑張りたい」
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佐々木監督は取材の間、終始頭を抱え続けていたが、それほどまでに花巻東の今大会への意気込みは並々ならぬものがあった、ということの証拠でもある。
東海、関東地区での二度の合宿を経て、3月4日には早くも神戸入り。練習試合が解禁となった3月8日には、昨秋の大阪大会準優勝校である東大阪大柏原や報徳学園と対戦している。いったんは帰郷するも、その後、PL学園、龍谷大平安など近畿を代表する強豪校との練習試合を組んでいる。菊池雄星を擁して準優勝した3年前は直前の大阪入りだったことを考えると、いかに今大会に賭けているのかが分かるだろう。
このカード、ただの「一回戦」に収まる気配などは毛頭なく、間違い無く激闘となるはずである。
今大会は、この「一回戦」にまずはポイントを絞って考えてみたい。
甲子園常連校vs.東大進学常連校の戦い!?
優勝候補のひとつ、愛工大名電(愛知)は初出場の宮崎西(宮崎)と対戦する。
前評判では圧倒的に優位なはずだが、愛工大名電の倉野光生監督、佐藤大将主将ともに、警戒感を口にしている。
「くじを引くときに横浜高校さんの隣が空いていましたから、あるかな? とも見ていたのですが、進学校の宮崎西さんでした。強豪校が相手だと、どんなチームかイメージしやすい部分はありますけど、初出場校は見えにくい。愛知の進学校と対戦する時もそうですけど、独特なチームカラーを持っているチームで、やりにくさがあります」(倉野監督)
「自分たちは常にチャレンジャーの気持ちでいるのですが、対戦相手を見て、油断するつもりはないんですけど、頭の片隅に、『相手は強豪校じゃない』というのが残っているときがある。昨年の夏は、それがあって至学館に愛知県大会で負けました。今大会もそういうことはないようにしたい。」(佐藤主将)
今大会No.1左腕・濱田達郎を擁し、攻守のバランスではトップクラスだと評される愛工大名電に、初出場の進学校・宮崎西がどこまで肉薄するか……予想に反して接戦になる可能性もある。