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優勝候補対決、進学校vs強豪校……。
センバツの注目ポイントを徹底解説。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2012/03/19 10:30
選抜高校野球抽選会での花巻東・大沢永貴主将(右)と大阪桐蔭の水本弦主将。一回戦での優勝候補対決となった。
甲子園の元スター選手・大越基監督が率いる早靹。
元プロ野球選手・大越基監督が指揮を執る早靹(山口)は、今大会の注目校の一つ。
一回戦の相手は、昨秋の近畿大会優勝校・智弁学園(奈良)という厳しい組み合わせになったが、大越監督は元プロという以前に、甲子園準優勝投手でスターだった男だ。高校3年時には、近畿勢との対決を多く経験してきた。
「そういえば、そうでしたね。上宮と京都西(現京都外大西)とやりました。関西のチームとやるとね、お客さんがたくさん入るんですよ。上宮とやった時なんて、『ド・アウェー』ですよ。みんなが上宮を応援してて……。僕は燃えましたけどね(笑)。『このヤロー』とか思って投げていました。今回も、お客さんがいっぱい入るでしょうね、でも、ウチの選手たちは緊張するだろうなと思います。それをはねのけるくらいの精神力がほしいですよね。緊張感と戦って、自分自身を分かっていってほしい」
34年間センバツで一勝もしていないというジンクスを抱える智弁学園。
一方、智弁学園だが、実はセンバツに限ると34年間、勝ち星がない。
優勝を狙える位置だという大会前評価を受けながらも、先を見て戦う気など初戦からない。小坂将商監督は「一戦一戦を大事に戦う。センバツではずっと勝ってないわけやからね。一つ勝たんことには、話にならない」と気を引き締める。相手が注目校というのは好材料だ。昨夏は、それまで奈良県勢が一度も勝ったことがなかった神奈川県代表(横浜)を撃破してベスト8に進出。34歳の青年指揮官に率いられた、当時2年生主体の若きチームは一度は壁を乗り越えた経験を持つのだ。
「相手は好投手がいて注目校でもあるので、負けるわけにはいかんという思いはありますよ。相手が注目されればされるほど、自分は燃えるタイプですから」と指揮官が熱く語れば、主将の中道勝士は「智弁の歴史を変えるつもり」と再び壁を越えることに対して静かに闘志を燃やしている。