セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
インテル、ついに首位陥落。
大逆転のローマは逃げ切れるか?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byUniphoto Press
posted2010/04/15 10:30
没落したはずのローマが急浮上。9季ぶりの優勝なるか
追う者から追われる者へ──気の抜けない戦いが続く。
首位に立った、といっても、まだ“ハナひとつ抜けただけ”であることは否めない。ローマのスクデットといえば、やはり2001年の優勝が印象に強いが、その点でもラニエリは釘を刺す。
「(カペッロが率い、バティストゥータやカフー、中田英寿などを抱えた)あのチームは、最初から優勝するべく編成された巨大チームだった。今季のチームはあの年とは決定的にちがう」
誰よりも警戒心を持っているのは、自身初のリーグ制覇に挑む指揮官だろう。インテルに勝った際には、まだ追う者の強みで「さあ、お楽しみはこれからだ」と豪気に構えたが、実際首位に立ってみると「これからはわれわれ次第。残りの5試合はすべて最高難度だ」と途端に緊張の面持ちになった。
残すカードを比べると、ダービーと伏兵サンプを残すローマの方が少々きつい。「これからは精神戦だ」とも評したラニエリ。その相手は軍師モウリーニョだ。
ちなみに、シーズン途中で監督交代したチームがスクデットを獲ったケースは、長いセリエAの歴史でも5回しかない。戦後に限れば、最後となった39年前のインテルを含めて2度だけだ。狼は、逃げ切れるだろうか。