ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
<五輪代表連続インタビュー#1>
GK・権田修一 「僕は今のチームの
一体感を大事に戦いたい」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byToshiya Kondo
posted2011/10/25 10:31
A代表とU-22代表両方のチームの空気を知る権田修一。オリンピックは1996年から4大会連続出場しており、今回ロンドン五輪出場が決まれば5大会連続となる
チームの転機となったマレーシア戦。何があったのか?
――これまで五輪代表は、立ち上がりや流れが悪くなった時に失点してしまうケースが多かった。しかしマレーシア戦では、流れが悪くなっても耐えて失点ゼロ(2-0)に抑えた。これは、何が要因だと思う?
「みんなががんばれるようになったからだと思います。前は流れが悪くなると『みんなでやろう』ではなくて、『俺、しんどいから』というふうに前の選手が後の選手にまかせてしまっていた。でも、マレーシア戦ではサコ(大迫勇也)からボールを追っていたし、守備の意識が高かった。
一番印象的だったのは、東(慶悟)です。あの試合、サイドの選手が前に出ていって、ボランチのヤマ(山村和也)がそのスペースを埋めるためにサイドにずれていったんですよ。ヤマの抜けたスペースを誰が埋めたかというと、トップ下の東が下がってきてそこに入った。それで真ん中の守備が安定したんです。みんなでリズムが悪い時を乗り切ろうという思いがそこに見えたんですよ。チームに一体感が出たのはうれしかったし、これを継続していければもっと強くなると思いましたね」
A代表に招集されて清武、原口らが抜けると、その穴はどうなるのか?
11月22日、バーレーン戦(アウェー)、27日のシリア戦(ホーム)は、最終予選突破をうらなう重要な試合だ。だが、A代表も11日にタジキスタン戦、15日に北朝鮮戦のアウェー2連戦がある。清武、原口らがA代表の3次予選に参戦すると、五輪代表は攻撃の中核を欠く戦いを強いられることになる。
――11月の2試合は、清武ら主力の抜けた戦いになる可能性があるが?
「それに関しては、僕はまったく心配してないです。たぶん、キヨや元気よりも、怪我でヤマがいないほうが痛いと思いますけどね。キャプテンでチーム結成以来、ずっと試合に出ていた選手がいなくなるので。
でも、そもそも誰かがいないと勝てないチームだとこれから厳しいし、本大会では勝てない。今後も海外に出ていく選手が出てくるかもしれない。だから僕らは、誰かが抜けるのを常に想定してやっていかないといけないんです。ただ僕は、誰かが抜けてもそこを埋める選手が出てくると思っているので心配してないです。
チームにはベンチにいる選手やメンバーに入れない選手もいる。そういう選手は、試合に出るチャンスを与えられたら『やってやる』という気持ちがものすごく強い。それはチームにいい影響を与えてくれると思うんです。逆にヤマが戻ってきた時、関さんが悩むぐらいの選手が出てくれば、チーム力はもっと上がると思うので、それを期待したい」