ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
<五輪代表連続インタビュー#1>
GK・権田修一 「僕は今のチームの
一体感を大事に戦いたい」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byToshiya Kondo
posted2011/10/25 10:31
A代表とU-22代表両方のチームの空気を知る権田修一。オリンピックは1996年から4大会連続出場しており、今回ロンドン五輪出場が決まれば5大会連続となる
予選に帯同し、今年3月からはロンドン五輪代表も兼務している。権田は清武弘嗣、原口元気らよりもひと足早く、A代表の薫陶を受けてきたのだ。両代表を知る権田は、両チームの違いをどのように見ているのだろうか。そして、A代表の経験が五輪代表にどのように還元されると考えているのだろうか。
――権田選手がA代表と五輪代表で一番違いを感じたのはどういう部分?
「スイッチの入り方ですね。A代表は、スタジアムのロッカールームに入った瞬間にスイッチが入る感じなんです。音楽を聴いている人もいればストレッチしている人もいるけど、これから戦いに出るんだという気持ちを研ぎ澄ましている感じ。みんな集中していて、ボクサーがリングに上がる前のような雰囲気なんですよ。
五輪代表はというと、ロッカーでは話をしたりリフティングしたり、それぞれ楽しそうにやっています。でも、監督の関塚さんが集合をかけてアップに入るとガラッと変わりますね。マレーシア戦の時も、アップから戻ってきたみんなを見ると『やるぞ』という顔になっていた。
僕は、切り替えさえしっかりできれば、A代表のやり方を五輪代表に無理に取り入れる必要はないと思うので、五輪代表は今まで通り明るくやればいいと思っています」
A代表で注目の清武は、U-22組にどういう影響を与えたか?
9月21日、ロンドン五輪に向けての最終予選がスタートした。バーレーン、シリア、マレーシアの3カ国と定数1のイスをめぐって、来年3月まで戦いが続く。
――マレーシア戦は、最終予選というのもあるけど、A代表で活躍した清武選手ら個人の選手に注目が集まって、2次予選の時とは違う雰囲気での試合になった。
「そうですね。キャンプ中からキヨ、キヨでしたからね(笑)。でも、キヨ自身は何も変わらないし、むしろいつも以上に責任感を持ってプレーしていた。僕は注目されるのはいいことだと思うんです。自分もがんばってA代表に入りたいと思う選手がどんどん出てくるだろうし、そうなればチームにとってプラスになる。僕らの年代って、ちょっとした経験ですごく成長するんですよ。
僕が最初に五輪代表に参加したのはウズベキスタン遠征の時でしたけど、その時はチームでレギュラーではない選手がたくさんいた。でも今回、タカ(扇原貴宏)はチームでポジションをつかんで、スタメンで出た。チームで試合に出たのがきっかけになって、意識が変わったと思うんです。それが五輪代表に還元されてきた。今はA代表と五輪、チームと五輪で、いい相乗効果が生まれてきたと思いますね」