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離脱者続出のヤクルトを一場が救う!
プロ野球人生を懸けた最後の戦い。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/10/05 12:05

離脱者続出のヤクルトを一場が救う!プロ野球人生を懸けた最後の戦い。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

最速154キロのストレートだけでなく、スライダーやカットボールなど様々な変化球を持つ一場靖弘。

これまで結果を残せなかった最大の理由とは?

 ヤクルトでも、初登板初勝利を挙げ幸先の良いスタートを切ったものの、結局はこの1勝止まり。昨季に至っては、大きな怪我もなくシーズンを通して投げはしたがプロ入り初の一軍登板ゼロと、再起を誓うどころか屈辱ばかりが残る1年となった。

 一場がこれまで結果を残せなかった理由は明白だった。

 それは制球難。

 四球で走者を溜め、安打を嫌うあまり力のないボールでストライクを取りにいき、痛打を浴びる。

 さらに言えば、彼は周りの意見を聞きすぎた。

 楽天時代に「シュートを覚えろ」と言われれば従い、ヤクルトでも制球難を克服するために投球フォームの改造を促されると真摯に取り組んだ。だが、成果は表れなかった。

“最後通告”と“敗戦処理”を経て、劇的な変化を遂げた一場。

 昨年オフの契約更改交渉では、減額制限ギリギリの25%の年俸ダウン。それは、事実上の“最後通告”を意味していた。

 今季も開幕二軍スタート。与えられた役割も敗戦処理が多かった。しかし、これが一場にとって大きな転機となる。連日ではないものの、先発よりも短い間隔で投げることで、彼は投手というものを自分で考えられるようになったのだ。

「セットアッパーは初めてだったので最初は慣れない部分もありましたけど、肩の作り方やゲームへの入り方を考えていくうちに自分なりの調整法ができるようになって。落ち着いて投げられるようになりました」

 ファームながらも、一場は抜群の安定感を披露した。38試合、49回を投げ防御率は1.84。四死球もイニングの約半分の26。次第にチームから信頼され、9月に入ると勝ちゲームのマウンドを任されるようになった。

 そして、優勝争いが激化し始めた22日、彼は今季初の一軍昇格を果たした。

「優勝がかかっている大事な時期に上げてもらったことはすごく光栄ですし、なんとか期待に応えたい」と意気込んで臨んだ28日の阪神戦。一場は、逆転された3回途中からマウンドに上がり2回を無安打無失点に抑え、後の逆転劇のきっかけを作った。

 この好投には荒木大輔チーフコーチ兼投手コーチも、「うちに来て一番いい働きだった」と称賛。首脳陣の期待に早くも応えた。

【次ページ】 「うん。もう、やるしかないっす!」

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