野球クロスロードBACK NUMBER
離脱者続出のヤクルトを一場が救う!
プロ野球人生を懸けた最後の戦い。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/10/05 12:05
最速154キロのストレートだけでなく、スライダーやカットボールなど様々な変化球を持つ一場靖弘。
「うん。もう、やるしかないっす!」
ところが、30日の横浜戦では1安打2四球、3失点と1死も取れずに降板。この内容に、本人も「論外です」と自戒の念を口にしたが、俯くことなく前向きに言葉を繋いだ。
「でも、『フォアボールを出すくらいならヒットを打たれてもいい』くらいの気持ちでこれからも投げていきます」
かつて、「フォアボールは自分の持ち味です」と語っていた男は、投球のみならず心も劇的な変化を遂げたのだ。
12連戦の直前、指揮官の小川淳司は、投手陣を集め「12連投するつもりで頑張ってくれ」と鼓舞した。この言葉に、一場の士気も高まる。
「今年は一軍でほとんど投げていないので、もちろん12連投するつもりで準備はします。どんどん投げたいです」
4日の阪神戦もそうだったように、一軍での一場はまだビハインド時でしか投げていない。しかし、バーネットと久古健太郎が離脱し、中継ぎ陣が手薄の今だからこそ、一場にも「勝利の方程式」に加わるチャンスはある。
「どんな場面でも、バッター一人ひとりに集中して投げるだけですから……うん。もう、やるしかないっす!」
これからの道を閉ざさぬためにも、一場は結果を出すしかない。
乾坤一擲――。
そう、やるしかないのだ。