柏木、香川ともに、プレーが冴えなかった理由とは？

　しかしながら本田の代役として2列目の中央に入った柏木陽介に、そのまま本田の役割を求めるのは酷というもの。基本的に2人のタイプは違う。柏木のパフォーマンスは決して悪くはなかった。3人目の動きでペナルティーエリアに入ったり、味方のスペースをつくろうと奔走していた。「本田のトップ下」が染み付いているチームが、柏木の良さをうまく活かしきれなかった部分も否めない。

　本来ならペナルティーエリア付近で持ち味を発揮する香川も本田不在の影響があってか、時折下がってボールを受けようとする場面が少なくなかった。清武の投入によって香川自身がトップ下に入って以降は、ゴールに近い位置でボールを受けるようになった。そして相手ゴールに向かう動きで北朝鮮のディフェンス陣に圧力をかけていた。だが、ここから先の周囲との連係が今ひとつだった。

超守備的布陣に激しいボディコンタクト。ウズベク戦は肉弾戦になる。

　さて、ウズベキスタン戦である。アウェーで勝って連勝できれば、ザックジャパンは3次予選突破に向けて大きく前進できる。

　ウズベキスタンはシャツキフ、ジェパロフら攻撃のタレントばかりに目がいくものの、特色としては組織的に粘り強く守ってくるチーム。2年前の最終予選（2009年6月6日）、アウェーで戦ったときのウズベキスタンは中盤と最終ラインに2列のブロックをつくって、ボールが入ってくるところをファウル覚悟で激しくつぶしにきた。今回もそういった戦術を取ってくる可能性は十分にある。激しい肉弾戦を覚悟しなければなるまい。

　日本に求められるのは、そのときのタシケントで見せた泥臭さ、そして強引さ。

　激しくファイトしたからこそ、岡崎の決勝点が生まれ、W杯行きのチケットを勝ち取ることができたのだ。

　キャプテンの長谷部誠はそのことを重々、理解している。北朝鮮戦の試合後、彼はこのように言っている。

「（今は）どうしても自分たちのパスサッカーに悪い意味で言うと“酔っている”部分もある。時には強引にプレーしていかないと点は獲れない。きれいなサッカーをしようとしているだけでは足元をすくわれてしまう。もう少し強引にいって、ガムシャラに点を獲りにいこうとする姿勢が必要になってくると思う。3次予選とはいっても、簡単には勝たせてくれない。ゴールに向かう気持ちを出さないと厳しい試合になってしまう」

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