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豪州に勝って王手をかけたなでしこ。
北朝鮮戦での“決着”が必要な理由。 

text by

河崎三行

河崎三行Sangyo Kawasaki

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photograph byTamon Matsuzono

posted2011/09/06 12:10

豪州に勝って王手をかけたなでしこ。北朝鮮戦での“決着”が必要な理由。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

33歳の誕生日(9月6日)を前に、フル出場で3連勝に貢献した澤。果敢なドリブルで相手のマークを引きつけ、中央に有効なスペースを作りだした

「オーストラリアはもっとアグレッシブに来ると踏んでいたんですが、思ったほど運動量がなかった。あの程度の相手の動きとプレスと守備方法なら、我々がボールを動かせたのは当たり前でしょう」

 佐々木監督の試合後のコメントがすべてを表しているような試合だった。

 日本がその持てる能力を発揮してボールを支配したというより、オーストラリアが勝手に消極的な戦術を選択し、自滅してくれたのである。昨年5月、女子W杯出場をかけたアジアカップ準決勝の同カードでなでしこジャパンが敗れた後、佐々木監督に、

「敵の球際での執念とひたむきさにやられた」

 と言わしめたオーストラリアの積極果敢な姿を見ることができたのは、この試合の立ち上がりだけだった。

マークに付かれた澤がスペースを空け、そこを阪口らが生かす。

 開始早々、オーストラリアはアーリークロスやDFラインの裏を突く縦へのフィードで韋駄天FWのデバンナを走らせ、日本のゴール前に迫る。特に前半5分、右からのロングクロスをデバンナがGK海堀の目の前で合わせたボレーシュートは、その展開の早さに日本のDFがまったくついていけなかった。

 が、オーストラリアのペースといえたのは前半15分あたりまで。その後は日本がほぼ自由にパスを回せるようになった。というのも、オーストラリアが自陣にべったり下がって守備ブロックを作り、そのエリアに入ってくるまでは全くプレスをかけてこないのである。ただし澤に対してだけはMFポーキンホーンがべったりマンツーマンマークしてきたのだが、これはオーストラリア戦での風物詩ともいえる光景なので、対策はすっかり出来上がっていた。

 MF阪口はキックオフ直後のピッチ上で、ボランチコンビの相棒でもある澤から、

「マークに付かれてるから、(私の空けた)スペースを使って」

 と、組み立て役を託されている。さらに阪口だけでなく大野や宮間も、澤が囮になって作り出したスペースに入り込んでボールを受けた。

【次ページ】 前半から、シュートまでの形は狙い通り作れていた。

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