ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER

課題と反省ばかりが残るエジプト戦。
五輪代表は“戦う集団”になれるのか? 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byNaoya Sanuki

posted2011/08/12 08:01

課題と反省ばかりが残るエジプト戦。五輪代表は“戦う集団”になれるのか?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

トップ下で縦横無尽に活躍した山田直輝。永井謙佑へのアシストとなったパスは、30メートルに及ぶかという見事なスルーパスだった

 8月10日、ロンドン五輪最終予選の前哨戦となるエジプト戦は、2-1とU-22日本代表が逆転勝ちした。勝利し、幾つかの収穫はあったが、9月から始まる最終予選に向けて、不安をかき立てる材料の方が多かった。

 6月のオーストラリアとの親善試合、クウェートとの2次予選を経た後、いくつかの課題が浮き彫りになった。特に、前後半の試合の入り方、セットプレーにおける守備や集中力の欠如、先制点を奪われる展開は、大きな課題になっていた。同じ過ちを繰り返さないように、エジプト戦の前日練習ではセットプレーでの守備やこぼれ球への対応などを繰り返した。

 GK権田修一は「何度も同じ過ちを繰り返していては最終予選は勝ち抜けない。これまでの課題を克服しつつ、最後まで集中力を発揮して、エジプトに勝ちたい」と、力強く語った。

他人まかせの甘えの意識が同じミスを繰り返す要因に。

 しかし、いざ蓋を開けてみると、まるで過去の試合の再現のように、悪癖が顔を覗かせた。立ち上がり、なんとなくボンヤリ入り、開始5分、セットプレーから鈴木大輔がニアのマークに寄せられず、先制点を許した。オーストラリア戦では立ち上がりにカウンターから先制点を許し、アウェイのクウェート戦では後半の立ち上がりに失点し、そのまま逆転された。今回、その反省はもちろん、前日練習もほとんど活かされず、同じことを繰り返してしまった。

 試合後、東慶悟は「最初の失点は、悔やまれる。最終予選ではひとつのミスが命取りになる」と、同じミスを繰り返し、拙い展開に自ら活を入れるように述べた。

 同じようなミスを繰り返すのは、個々の意識の問題もあるが国際大会で戦った経験が少なく、どこかで誰かがやってくれるだろうという甘えがあるからではないだろうか。だからポジショニングやマークが徹底できず、少し雑になる。その隙がミスを生じる一つの要因になっているような気がする。

 個々の能力は高いだけに、突き詰めて厳しく対応できるように意識付けしていくしかない。

【次ページ】 山田、清武といった新戦力が頭角を現したのは収穫。

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