日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
岡田監督も中村俊輔も驚いた!!
結果で示した“FW”本田の存在感。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshiya Kondo
posted2010/03/04 00:00
岡田監督も中村俊輔も驚いた!! 結果で示した“FW”本田の存在感。
本田の評価を高めたのは、長所を活かしたからじゃない!?
本田効果は十分にあった。
東アジア選手権と比べて、縦の意識がチームとして強くなっていた。本田はなるべくサイドに流れず、中央にポジションを取ってボールを引き出そうとしていた。高い位置でボールを持って前を向けば、本田の持ち味であるフィジカルの強さが光った。相手に囲まれながらもドリブルで突進して森本にパスを送ったりするなど、縦に仕掛ける場面も目立った。常にペナルティーエリアに自分が、周囲が向かうことを意識してプレーしていたように思う。
しかし今回、本田が評価を上げたのは自身のストロングポイントを発揮できたからではない。周囲にどう活かされ、周囲をどう活かしていくのか。今の岡田ジャパンというチームで、自分というピースをどう当てはめていくか考えてプレーしていたことにある。
指揮官は試合後の会見で、こうも言っている。
「今回びっくりしたんですが、本田自身、プレースタイルがかなり変わっていて、シンプルにプレーして、動いて、ディフェンスもする、と。体もキレている状態だったので、非常によかったと思っている」
「連動の部分でも良さが出たと思う」と語る中村俊輔。
プレーの力強さもさることながら、前線からのディフェンスにも精力的に関わり、シンプルにボールを動かすことでチャンスを演出していた。この日は、持ちすぎの印象からは遠かった。それにオフザボールの動きも、効果的だったように思う。
「できるだけ、オカ(岡崎)のときもモリのときも、できるだけ近くでプレーするイメージ。ボールが入ったらできるだけサポートするイメージを持っていた」
岡崎に近づいて相手のディフェンダーを引き付けてから、どちらかが裏に走り出してボールを呼び込む動きもあった。連係という部分でも、試合を通じて周囲の信頼を勝ち取っていくことができた。この試合の序盤は自分の足元にボールを要求していたが、チームの狙いが相手の裏だと悟るとすぐに頭を切り替えてもいる。
これまであまり同時にプレーすることがなかった中村俊輔も、本田とチームの融合に手ごたえを感じているようだった。
「(相手の)ゴールキーパーからのボールに、ヘディングで競りに行く。小さいことかもしれないけど、そういう競りに行けるところとかね。連動の部分でも良さが出たと思う」