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UEFAカップという「有難迷惑」。
~レドナップ監督のしたたかさ~ 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byJamie McDonald/Getty Images

posted2009/06/01 06:00

UEFAカップという「有難迷惑」。~レドナップ監督のしたたかさ~<Number Web> photograph by Jamie McDonald/Getty Images

降格への恐怖とビッグマネーの影響でプレミアを優先した。

 中堅以下のクラブには、UEFAカップとプレミアの両方で全力疾走し続ける体力はない。UEFAカップは予選から決勝まで20試合以上という長丁場だし、試合が木曜日に開催されるため、週末のリーグ戦への影響も懸念される。ましてや昨今のプレミアでは、中位と下位の垣根がなくなってきている。一寸先には「降格」という名の闇が待っているため、過半数のクラブは、巨額のTVマネーが確約されるプレミアのステータスと順位を優先せざるを得なくなったのである。

 今シーズン、UEFAカップを掛け持ちしたトッテナムなどは典型的な例だろう。後半戦に入っても降格ゾーンに転落する恐れがあったトッテナムは、シーズン途中でハリー・レドナップを監督に起用している。2月の時点ではUEFAカップでベスト16入りの可能性が残っていたが、レドナップは「UEFAカップの優先順位は最低」と公言。シャフタル戦はリーグ戦からメンバーを大幅に入れ替えて臨み、“予定通り”敗退した。

 プレミア7位の座(UEFAカップの最後の出場枠)をかけたシーズン最終節も、消化試合のようなパフォーマンスだった。レドナップは「(出場権は)欲しかった」と言っていたが、内心「これで来シーズンはプレミアに注力できる」とほくそ笑んでいたとしても不思議ではない。

レドナップの策略によってUEFA行きが決まったフルハムの後悔。

 逆に、出場権を“得てしまった”フルハムでは試合数の増加が招く悪影響が心配されている。たしかに1年前の最終節は、得失点差でかろうじて残留にこぎつけて歓んでいたことを考えれば、UEFAカップ圏内でのフィニッシュは夢のような出来事だ。だがフルハムの選手層の薄さは、プレミアでも最悪の部類に入る。来年の今頃、ファンは「なまじヨーロッパの大会などに出場したのが悪かった」と、再び低迷を嘆くはめになるかもしれない。

 イングランドからの出場チームにとっては、「有難迷惑」でしかないヨーロッパへの切符。UEFAカップの不人気は、大会が衣替えされる来シーズン以降も続くだろう。むしろ、大会規模の拡大によって魅力がさらに薄れ、「迷惑度」がより高まる危険すらある。CLに出掛けるビッグ4以外のクラブには、ドーバー海峡を越えて旅に興じている余裕などないのである。

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