日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
コンセプトに縛られ敗れた日本代表。
岡田武史の負けじ魂は消えたのか?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshiya Kondo
posted2010/02/15 15:30
過大なコンセプト重視が攻守ともに日本代表を苦しめる。
コンセプトへの執着は失点にも結びついている。守から攻に移るときのビルドアップが失敗したときに反撃を食らうシーンが目立った。内田篤人がPKを与えてしまった場面も、つなぎのパスをカットされたことでペナルティーエリアまで運ばれている。
この試合で国際Aマッチ100試合目の出場となった中澤佑二は「ものすごく悔しい」と3失点を悔やんだうえで守備の課題を挙げた。
「(全体として)つなぐことも大事だけど、スペースに出ていくとか、苦しかったら蹴ってもいい。まあ結果論ですけどね。それに一人少ないと余計に一瞬の判断が遅れてはいけない。指示を待っているようじゃ遅れてしまいますから」
韓国の3点目もつなぎのパスをミスして、そこからドリブルとワンツーで右サイドを突破されてしまった。対応がワンテンポ遅れてしまうと、W杯に出場するチームならシュートまで持っていかれるということだ。守備の厳しさが足りなかったと同時に、守備においても臨機応変が足りなかった。それゆえの3失点だった。
屈辱的大敗の後、短期間でキッチリ修正してきた韓国代表。
日本代表とともにW杯本大会に出場する韓国代表もまたこの東アジア選手権では批判にさらされてきた。中国代表に0-3という屈辱的な大敗を喫したことで、韓国メディアは日本に敗れてしまえば許丁茂(ホ・ジョンム)監督の進退問題に発展する可能性を指摘していた。尻に火がついた指揮官は「このままなら、W杯に連れていくのはこのメンバーから5人しかいない」と猛烈に選手たちにハッパをかけ、日本を徹底的に分析してこの一戦に執念を燃やしてきた。その執念が、ことごとく打ち勝った球際の強さに表れていた。
「日本のパスをいかに遮断するか、それを分析して指示したとおりに選手たちが動いてくれた。W杯で活躍できそうな選手は(このチームに)数多く発見できた」
試合後になると許丁茂の表情は幾分晴れていた。
この3戦の間に、なぜ積極的に建て直しができなかったのか?
この東アジア選手権は、南アフリカW杯のグループリーグと同じ3連戦。この3試合目に建て直しが効かなかったという点で、岡田ジャパンはチームマネジメントのうえでも課題を残したことになる。韓国は中国戦で崩壊した守備に規律をもたらし、「守りを固めてカウンター」を徹底させた。そして何よりファイティングスピリットを植えつけたことが大きかった。翻って岡田ジャパンは、相も変わらずコンセプトに縛られたままで、目の前の相手にファイトするという原理原則を二の次にしてしまったことが力負けの主因であったように思えてならない。