野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
毎年恒例の交流戦「ライバル宣言」。
今年の「勝者」と「敗者」を総括する。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/06/20 12:55
昨年、初めて一軍登録となった山田大樹。昨季は育成選手としてはパ・リーグで初となる勝利を飾ったが4勝どまりだった。今季交流戦終了後の時点ですでに6勝をあげている
昨年と比較すると成績が落ちてしまったマエケン。
逆にマエケンが指名した選手との対戦は、日本ハム中田を3タコ2三振に仕留めるも、「力勝負!! 久し振りの対戦楽しみです!!」と意気込んだT-岡田に痛打を浴びるなど通算で13打数4安打。総合成績でも1勝2敗の防御率2.04と昨年の交流戦から成績を落としてしまった。
カープは10連敗を記録するなど交流戦最下位と低迷したが、連敗からの脱出に貢献したのが4年目の松山竜平だった。5月26日の西武戦でプロ入り初安打を放つと、10連敗で迎えた6月9日の西武戦でダメ押しのプロ入り初ホームランを放ち涙のヒーローインタビュー。相手は「キレのあるボールをホームランにしたい」と指名していたエース涌井だった。
交流戦3戦3勝で絶好調のソフトバンク山田大樹。
そのカープに10連敗目を与えたソフトバンクの山田大樹は、この交流戦で3戦3勝。ダルビッシュに次ぐ防御率0.39というこれまたとんでもない数字を叩き出した。
5月20日の阪神戦ではプロ入り初完封を果たすのだが、山田がライバル指名した相手はチームの大先輩にあたる城島。メッセージには「大先輩の胸をお借りします!!(笑)」とあるが、この(笑)をどう解釈すればよいのか……思わず戦慄が走る。山田はカープの栗原に対する「生意気なヤツですが、勝たせて貰います!!」なんて宣言からも、マウンド度胸以前に根性が据わった感じが滲み出ている。実に今後が楽しみな素材が出てきた。
ちなみに城島との対決は3打数1安打で大先輩が一応の面目を躍如したが、交流戦絶不調の城島はケガもあって現在二軍で治療中。オリックス寺原、ソフトバンク攝津という元チームメートを「釣りが好き」という理由でライバルに指名していたが、鳴尾浜に呼び出されていないか気になるところだ。
釣り人寺原は交流戦4勝1敗防御率1.75とオリックスの交流戦2位躍進に大きく貢献。特に古巣横浜相手に1点も与えずに2勝。主砲村田を「昨年までチームメイトで1度真剣勝負がしたかった」と指名した対決は、6打数無安打で寺原の完全勝利。「こうなることはトレードで出した時からわかっていた。高宮に完封されないだけマシ」とは古くからの横浜ファンの弁だ。