オフサイド・トリップBACK NUMBER
ファーガソンにも打つ手なしか?
マンUとイングランドの複雑なGK問題。
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/05/26 10:30
現役引退の理由として「そろそろ家族のことを考えたい」とコメントしたマンUの正GKファンデルサール。写真は、2008年のFIFAクラブワールドカップで世界一になった時のもの
最有力候補だったノイアーは早々にバイエルンへ移籍。
大衆紙の予想もあまり変わらない。
3月下旬に発売された「ミラー」紙でも、デゲアやステケレンブルク、ロリスの名前が上位にランクされていた。
「ガーディアン」紙との大きな違いは4位にCSKAのイゴール・アキンフェエフが入っている点と、1位がマヌエル・ノイアー(当時シャルケ04)になっている点だ。
実際、4月の中旬頃まではノイアーが次期ゴールキーパーとしてメディアでも最有力視されていた。それはピーター・シュマイケル('98-'99シーズン、マンUがクラブ史上初の3冠を達成した当時のゴールキーパー)のコメントからもうかがえる。
今シーズンのCLでシャルケとの準決勝ファーストレグが行われた翌日、マンU史上最高のゴールキーパーと目される彼は、ノイアーを次のようにたたえた。
「僕は彼がミスをした場面を見たことがない。昨日の試合でのプレーにしても、シュートや1対1の場面を防いだのは、ラッキーだったからじゃない。あれは非常に計算されたプレーだった。単純にゲーム全般を通しての出来は素晴らしかったと思うし、マンUにはまさにうってつけだと思う」
キーパーの人材難はイングランドサッカー全体の問題でもある。
ノイアー自身、マンUが興味を示していることを「光栄に思う」と語っていただけに、ファーガソンのもとに馳せ参じるのは時間の問題かと思われたが、結局は5月中旬にバイエルンと契約。マンUが昨年末に獲得したアンデルス・リンデガールは、怪我もあって今ひとつ伸び悩んでいるため、ファーガソンたちは再び人選に奔走しなければならなくなった。
実はデゲアの方が最初から本命だったという説もあるが、いずれにしてもマンUの新ゴールキーパー探しの問題は興味深い。それはマンUの強化云々だけでなく、ひいてはプレミアやイングランドサッカー界全体のゴールキーパーの問題にもかかわってくるからだ。