だが皮肉なことに、'03シーズンの玉田には２ゴール以上決めた試合がひとつもない。上位の久保や大久保が２点、３点の固め撃ちで量産したのとは対照的に、玉田は地道にコツコツと、１試合１得点で全11ゴールを積み上げた。「今年こそはインパクトのあるまとめ取りを！」と、密かに期すものはあるようだが、彼が本当に固め撃ちを覚えたら一体どうなるのか。想像するだけで鳥肌モノだ。

　ちなみに、玉田の雄姿を観に行こうと思うなら、やはりレイソルのホーム、日立柏サッカー場が断然いい。ピッチとスタンドの距離が近いこの専用スタジアムなら、彼の球さばきをかなり細かいところまで見極められるし、あわよくばピッチでの表情や掛け声まで判別できる。そして何より、活字ではリズムもテンションもまったくわからない冒頭の“タマダ・コール”も、ここに行けば間違いなくホンモノが聞ける。生粋のレイソルサポーターによる、魂こもったとびきりの大音量で、心ゆくまで酔いしれてほしい。もちろんそのためには、玉田自身のゴールが必要だが、チーム状態が良くない今だからこそ、エースを信じて通い詰めるしかない。

　――'03シーズンの結果に手ごたえを感じた玉田は、今年１月、代表入りよりひと足先に、代理人との契約を済ませていた。当然、海外移籍が視野に入っている。それがいつどこへ向かうのかは別として、彼がＪリーグでプレーしている今のうちに、一度くらい“日立台の住民”になってみるのもいいだろう。