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<プロ野球・円熟の最年長世代> 木田優夫 「150kmはあきらめない」 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2011/04/18 06:00

<プロ野球・円熟の最年長世代> 木田優夫 「150kmはあきらめない」<Number Web>

「40歳過ぎて150km」はまだ諦めてないですよ。

 実は39歳11カ月までは150km出してたんですけど、40歳の誕生日を迎えてからは149kmが最高で150kmは出してない。「40歳過ぎて150km」はまだ諦めてないですよ。(エリック・)ガニエみたいに、いつでもアウトロー、インローにビシビシ投げられるピッチングが、今でも僕の目標なんです。

 僕は20年以上プロでやってきて、肩を痛めて休んだことは一度もないけど、それが長く現役でいられる理由かもしれない。プロ入りした頃は、ピッチャーはウェイトやるなって時代だったのに、僕の高校(日大明誠)はインナーマッスルとか「ジョーブ・エクササイズ」に早くから取り組んでいたんです。

今も現役を続ける同世代の選手たちへの思い。

 同世代の選手が今も現役で活躍しているのも、トレーニングや体調管理の仕方の変わり目の世代だということと関係があるような気がします。僕はたまたま身近に教えてくれる人がいたわけだけど、今も残っている選手たちは、若い頃から新しいトレーニングに興味をもって実際に取り組んできた選手が多い。いずれにしろ、今も頑張ってる同世代の選手たちは、球界の中でも偉大とされる選手ばかり。彼らの存在は誇りに思いますね。

 体力のことを考えたら、落ちる部分もたくさんあるだろうし、結局「出来なかった」で終わることもたくさんあるだろうとは思う。でもひょっとしたら、その中のいくつかはうまくいけば出来るようになって、もっといいピッチャーになれるかもしれない。そう思えるうちは、まだまだ野球を楽しめるだろうし、楽しいって思ってるうちに自分から「もういいかな」って思っちゃうことは……野茂じゃないですけど、もったいないですよね。

 練習試合とかオープン戦で投げた後、「スピードガン何kmだった? 150km出なかったか」ってベンチで必ず聞くんですよ。コーチの吉井(理人)さんは「もうええやろ」って言うんですけど(笑)。でもね、昔より今の方が、野球やってて何だか楽しいんです。

木田優夫(きだ まさお)

1968年9月12日、東京都生まれ。日大明誠高を経て、'87年ドラフト1位で巨人入団。'97年までに通算50勝を挙げる。'98年トレードでオリックスに移籍。シーズン後にFAでデトロイト・タイガースに移籍。日本人8人目のメジャー選手に。その後、ドジャース、マリナーズ、ヤクルトでプレーし、昨季より日本ハムに在籍。188cm、95kg

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木田優夫
北海道日本ハムファイターズ

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